航空から海上輸送に切り替えてコストを下げた事例|実際の費用差と手順

なぜ航空から海上への切り替えが進まないか

「航空は高い」とわかっていても、切り替えに踏み切れない担当者は多いです。理由はほぼ3つに集約されます。

「納期が不安」という思い込み

海上輸送は航空より遅いのは事実です。ただし「遅い」のは航海日数だけではありません。工程を正しく設計すれば、発注タイミングを前倒しするだけで海上に切り替えられる案件がほとんどです。「海上では間に合わない」という判断の多くは、リードタイムの逆算をしていないことから来ています。

「手続きが複雑になる」という誤解

航空クーリエはドアtoドアで通関込みのサービスが多く、手続きを意識しなくて済みます。海上に切り替えると通関を自分で手配する必要が出てくると思われがちですが、オールイン料金のサービスを使えば通関も含めて一括で手配できます。手続きの複雑さはほとんど変わりません。

「担当者が慣れているから変えにくい」という惰性

現状維持のコストは見えにくいです。毎月の航空送料が10万円高くても、切り替えの手間がかかることを理由に先送りし続けると、年間120万円の差額を払い続けることになります。「慣れ」の維持コストを一度数値で計算してみてください。

事例①:EC事業者(東莞発・月200kg・FBA納品)

切り替え前の状況

Amazon FBAで雑貨を販売しているEC事業者です。東莞の工場から月2回、合計200kg程度をDHLで航空輸送していました。FBA納品のスピードを重視して、立ち上げ当初から航空クーリエを使い続けていました。

  • 月間輸送重量:約200kg(月2回・各100kg程度)
  • 輸送手段:DHL(航空クーリエ)
  • 月間送料:約200,000〜250,000円(関税・消費税別)
  • リードタイム:工場出荷から配送先着荷まで約5〜7日

切り替えの判断理由

売上が伸びるにつれて仕入れ量が増え、月間の航空送料が粗利を圧迫し始めました。FBAの販売価格を下げられない一方で、送料だけが増え続ける状況に限界を感じていました。

試しに海上輸送のオールイン料金を確認したところ、同じ重量・配送先で141,806円という数字が出ました。月間60,000〜110,000円の削減になる計算です。年間で換算すると720,000〜1,320,000円の差額です。この数字を見て切り替えを決断しました。

切り替え後の費用と納期の変化

  • 月間送料:141,806円(オールイン・関税消費税別)
  • 月間削減額:約60,000〜110,000円
  • 年間削減額:約720,000〜1,320,000円
  • リードタイム:工場出荷から配送先着荷まで約12〜16日

リードタイムは5〜7日から12〜16日に延びましたが、発注タイミングを1週間前倒しすることで対応できました。FBAの在庫切れは一度も発生しませんでした。

切り替えで注意した点

  • 初回は繁忙期を避けて試験輸送を実施した(春節・国慶節を外した時期を選んだ)
  • FBAの納品期限から逆算してカット日・出港スケジュールを確認した
  • FBAの梱包・ラベル要件を工場に書面で共有した
  • 初回は余裕を持ったスケジュールで動かし、2回目から通常スケジュールに移行した

事例②:アパレルメーカー(杭州発・月400kg・自社倉庫納品)

切り替え前の状況

アパレル製品を杭州の工場から仕入れ、自社倉庫経由で卸売りしているメーカーです。以前はFedExとDHLを使い分けながら月400kg程度を航空輸送していました。季節商品のため出荷量の変動が大きく、繁忙期には送料が月40万円を超えることもありました。

  • 月間輸送重量:約400kg(月3〜4回)
  • 輸送手段:FedEx・DHL(航空クーリエ)
  • 月間送料:約300,000〜400,000円(繁忙期は400,000円超)
  • リードタイム:工場出荷から自社倉庫着荷まで約5〜8日

切り替えの判断理由

アパレルは季節商品のため、シーズン前の在庫積み上げが重要です。シーズン開始の2ヶ月前から仕入れを始めれば、海上輸送のリードタイムに対応できると判断しました。また、月400kgになると航空とのコスト差が大きく、年間で数百万円の差が出る計算になりました。

切り替え後の費用と納期の変化

  • 月間送料:177,358円(杭州→千葉 400kg/6CBM・オールイン・関税消費税別)
  • 月間削減額:約120,000〜220,000円
  • 年間削減額:約1,440,000〜2,640,000円
  • リードタイム:工場出荷から自社倉庫着荷まで約14〜18日

リードタイムの延長に対応するため、シーズン前の発注タイミングを2週間前倒ししました。在庫の積み上げ量も若干増やしましたが、それでも送料削減額の方が大きく、トータルのコストは下がりました。

費用削減の計算方法(あなたの案件に当てはめる)

現在の月間送料を計算する

まず現在の航空送料の実態を把握してください。直近3ヶ月の請求書を確認して、月間の平均送料を算出します。

  • 月間の総輸送重量(kg)
  • 月間の輸送費合計(関税・消費税を除いた輸送費のみ)
  • 1kgあたりの送料(月間送料÷月間重量)

海上輸送(オールイン)の見積もりを取る

出荷地・重量・CBM・配送先を入力するだけで、海上輸送のオールイン料金の目安がわかります。航空送料と比較してみてください。

無料で送料を計算する(約30秒)

年間削減額を試算する

(現在の月間送料 − 海上輸送の月間見積もり)× 12ヶ月 = 年間削減額の目安

この金額と、切り替えにかかる手間(1〜2週間の準備・試験輸送・発注タイミングの調整)を比較してください。年間削減額が数十万円以上になる場合、切り替えの手間に見合う効果があります。

切り替えに適したタイミング

繁忙期を避けるべき理由

フォワーダーの切り替えや初めての海上輸送は、港の混雑が少ない閑散期に実施することを推奨します。繁忙期に切り替えると、スペースが取りにくい・リードタイムが延びやすいという初回のリスクが重なります。

切り替えに適した時期は3〜5月または6〜9月です。春節(1月下旬〜2月上旬)・国慶節(10月上旬)・年末(11〜12月)の繁忙期は避けてください。

最初の1便は余裕を持ったスケジュールで

初回の海上輸送は、納品期限に余裕がある案件で試験的に動かしてください。初回は通常より1週間程度のバッファを見ておくことで、万が一のトラブルにも対応できます。初回がスムーズに完了したら、2回目からは通常スケジュールで動かせます。

切り替えを決めたら最初にすること

  • 現在の月間輸送重量・送料を確認する
  • 海上輸送のオールイン料金を料金計算ツールで確認する
  • 販売・仕入れスケジュールに合わせた逆算リードタイムを計算する
  • 試験案件として使える余裕のある案件を1つ選ぶ
  • HSコードが確定していることを確認する
  • 繁忙期を避けた試験輸送のタイミングを決める

航空輸送と海上輸送の損益分岐点の詳しい計算方法はこちらをご覧ください。

まず送料の目安を確認する

出荷地・重量・配送先を入力するだけで、海上輸送のオールイン料金の目安がわかります。今の航空送料と比較してみてください。

無料で送料を計算する(約30秒)

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