フォワーダーを乗り換える手順|今の業者から切り替えるときの実務フロー

フォワーダーを変えられない理由とその解決策

今のフォワーダーに何らかの不満を持ちながら、切り替えに踏み切れていない担当者は多いです。理由は大抵、以下の3つのどれかです。

「今の業者に慣れているから」

長年使い続けているフォワーダーとのやり取りは、担当者にとって「慣れた作業」になっています。新しいフォワーダーに変えると、また一から関係を作り直す手間がかかります。この「慣れ」の維持コストは見えにくいですが、毎月余分な送料を払い続けているなら、切り替えの手間より損失の方が大きくなっています。

「切り替えで何かトラブルが起きそう」

初めて使うフォワーダーへの不安は自然な感覚です。ただし、切り替えで起きるトラブルのほとんどは、準備不足と情報の引き継ぎ漏れが原因です。手順通りに進めれば、切り替えそのものがトラブルの原因にはなりません。

「引き継ぎが大変そう」

フォワーダーとの取引条件・工場への連絡方法・HSコードの情報などを新しいフォワーダーに伝えるのは確かに手間がかかります。ただし、この引き継ぎの手間がかかること自体、属人化が進んでいるサインです。引き継ぎが大変な状態を放置すると、将来の担当者交代でも同じ問題が起きます。

乗り換えを検討すべきサイン

以下のどれかに当てはまるなら、フォワーダーの乗り換えを真剣に検討するタイミングです。

  • 毎回の請求が見積もりより高く、理由の説明が曖昧
  • 納期が読めない・毎回「様子を見てください」という回答が続く
  • 担当者が替わるたびに一から説明が必要になる
  • オンラインで料金確認・進捗管理ができず、都度電話・メールが必要
  • 問い合わせへの返信が遅い・営業時間外に連絡が取れない
  • 新しいサービスや輸送ルートの提案が一切ない
  • 他社に見積もりを取ったら、現在より大幅に安い料金が出た

1つだけでは判断が難しい場合もありますが、複数が重なっているなら切り替えを前向きに検討してください。

乗り換えの手順(5ステップ)

ステップ①:現状の整理(今どんな条件で輸送しているか)

乗り換えを始める前に、現在の輸送条件を整理します。新しいフォワーダーへの見積もり依頼と条件比較に必要な情報です。

  • 現在の主な出荷地(都市名・工場住所)
  • 主な輸送品目とHSコード
  • 月間の輸送頻度・重量・CBMの目安
  • 配送先(都道府県・住所)
  • 現在の輸送費の月額合計(内訳含む)
  • 現在のリードタイム(工場出荷〜着荷)の実績
  • 現在使っているインコタームズ(FOB・EXWなど)

これらを一覧にまとめておくと、複数のフォワーダーへの見積もり依頼がスムーズになります。

ステップ②:新フォワーダーの選定・見積もり取得

新しいフォワーダーを選ぶ際に確認すべきポイントは以下です。

  • 自社混載便を持っているか(コーロードだと余計な手数料がかかる)
  • 出荷地(東莞・深圳・上海等)に対応しているか
  • オールイン料金(海上運賃+通関+国内配送込み)で見積もりを出せるか
  • オンラインで料金確認・予約・進捗管理ができるか
  • HSコードの確認・通関のサポートができるか

見積もりは必ず複数社から取得してください。同じ条件(出荷地・重量・CBM・配送先・オールイン)で依頼することで、正確な比較ができます。

DIGISHIPは料金計算ツールで出荷地・重量・配送先を入力するだけで、オールイン料金の目安をその場で確認できます。

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ステップ③:試験的に1案件で動かす

新しいフォワーダーに完全に切り替える前に、まず1案件を試験的に依頼します。この段階での目的は「実際のオペレーションを体験する」ことです。

試験案件として選ぶのは以下の条件が揃ったものが理想です。

  • 納期に余裕がある(万が一のトラブルでも問題ない)
  • 通常通りの品目・重量(特殊品・重量物は避ける)
  • HSコードが確定している

試験案件を通じて、書類のやり取り・進捗の確認方法・通関のスムーズさ・実際の到着日数を確認してください。見積もり通りの費用で、想定通りのリードタイムで完了できれば、本格切り替えの判断材料になります。

ステップ④:並行運用期間(旧・新を同時に動かす)

試験案件で問題がなければ、一定期間は旧フォワーダーと新フォワーダーを並行して使います。この期間の目安は1〜2ヶ月です。

並行運用中は以下を確認してください。

  • 新フォワーダーのリードタイムが安定しているか
  • 費用が見積もり通りか(追加請求がないか)
  • 進捗管理・書類のやり取りがスムーズか
  • 通関でトラブルが起きていないか

並行運用中に問題が発見された場合は、旧フォワーダーが保険として機能します。完全切り替え後に問題が発覚するよりリスクが低いです。

ステップ⑤:完全切り替え・旧フォワーダーへの通知

並行運用で問題がなければ、新フォワーダーへ完全に切り替えます。旧フォワーダーへの通知は以下のタイミングで行ってください。

  • 現在進行中の案件がすべて完了してから通知する(進行中案件を途中で切り替えない)
  • 旧フォワーダーに過去の取引データ・書類の提供を依頼する(必要な場合)
  • 旧フォワーダーへの未払い費用を清算する

旧フォワーダーへの通知は丁寧に行ってください。業界は狭く、将来また取引する可能性があります。

乗り換え時に整理すべき情報

品目・HSコード・梱包条件

新しいフォワーダーに輸送を依頼するには、品目ごとのHSコードと梱包条件を伝える必要があります。旧フォワーダーとのやり取りの中に記録されている情報を、切り替え前に整理してください。

  • 品目別HSコードの一覧
  • 他法令の対象品目と対応状況
  • 標準的な梱包方法・梱包強度の要件
  • インボイスへの品名記載方法(具体的な英語表記)

費用履歴・契約条件

旧フォワーダーとの費用履歴を保存しておきます。新フォワーダーへの切り替え後に費用が上がった場合の比較材料になります。

  • 過去12ヶ月の輸送費の月別合計
  • 出荷地・品目・重量別の費用実績
  • 旧フォワーダーとの契約条件(特約・割引条件等)

中国側工場への連絡(インコタームズの変更)

フォワーダーを変えると、インコタームズ(取引条件)が変わる場合があります。現在FOBで取引している場合、フォワーダーを変えても基本的にインコタームズは変わりませんが、EXWやCIFへの変更を検討する場合は工場への事前通知が必要です。

また、新しいフォワーダーの搬入先CFSの住所が変わる場合は、必ず工場に新しい搬入先を伝えてください。旧フォワーダーのCFSに搬入されてしまうと、貨物の移送手続きが必要になります。

乗り換えで失敗しないための注意点

繁忙期(春節前・国慶節前)の乗り換えは避ける

春節前(1月〜2月上旬)と国慶節前(9月下旬〜10月上旬)は、港の混雑・スペース不足・料金の変動が重なる繁忙期です。この時期に新しいフォワーダーへ切り替えると、初回の試験案件でトラブルが起きやすくなります。

乗り換えのタイミングとして最もリスクが低いのは、繁忙期を避けた3〜5月または6〜9月です。

初回は余裕のあるスケジュールで動かす

新しいフォワーダーとの初回取引は、納期に余裕を持ったスケジュールで進めてください。新しいフォワーダーとのオペレーションに慣れるまでは、通常より1週間程度のバッファを見ておくことを推奨します。

書類フォーマットの変更を工場に事前通知する

フォワーダーが変わると、搬入先のCFS・連絡先・書類の提出先が変わります。工場担当者に変更内容を書面で通知し、確認を取ってください。口頭だけでの通知は伝達ミスが起きやすいです。

よくある失敗パターン

  • 並行運用期間を省いて即切り替えして初回にトラブルが発生した:1〜2ヶ月の並行運用期間を必ず設ける。切り替えを急ぐ理由がない限り、段階的な移行が安全
  • 旧フォワーダーのCFSに貨物が搬入されてしまった:切り替え後は工場への搬入先変更通知を最優先で行う。書面で確認を取る
  • HSコード情報が旧フォワーダーにしか記録されておらず、引き継ぎができなかった:切り替え前に品目別マスタを自社で整備しておく。フォワーダーに依存した情報管理は切り替えのたびにリスクになる
  • 試験案件なしにすべての案件を一度に切り替えてトラブルが広範囲に及んだ:必ず1案件の試験を経てから本格切り替えする

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