中国輸入の原価を構成する7つのコスト項目
中国から日本の倉庫(またはFBA)に商品が届くまでに発生するコストは、大きく7つに分類できる。「輸送費だけ計算して原価に入れていた」というケースが多いが、実際には関税・消費税・国内配送まで含めた合計が「仕入れ原価」となります。
| # | コスト項目 | 発生タイミング | 確定のしやすさ |
|---|---|---|---|
| ① | 仕入れ原価(FOB価格) | 発注時 | ◎ 発注時点で確定 |
| ② | 中国国内輸送費 | 工場→中国の港 | ○ 事前見積もり可能 |
| ③ | 国際輸送費(オールイン) | 中国の港→日本の倉庫 | ◎ 料金計算ツールで事前確定可 |
| ④ | 関税 | 通関時 | ○ HSコード確定後に計算可 |
| ⑤ | 輸入消費税 | 通関時 | ○ 課税価格から計算可 |
| ⑥ | 国内配送費 | 通関後→最終納品先 | △ 実績ベースで概算 |
| ⑦ | FBA手数料(Amazon販売の場合) | FBA納品後 | ◎ Amazon出品画面で確認可 |
この7項目がすべて原価に含まれていることを確認してほしいです。特に④関税と⑤輸入消費税を「仕入れ原価の外」として扱っている担当者が多く、粗利計算が狂う原因になっています。
計算フロー:①仕入れ原価から⑦FBA手数料まで
具体的な数値を使って、計算の流れを追ってみよう。
前提条件(サンプルケース)
- 出荷地:東莞(中国)
- 品目:プラスチック製食器(HSコード:3924.10)
- 重量:200kg / 容積:4CBM
- 仕入れ原価(FOB東莞):500,000円
- 販売方法:Amazonマーケットプレイス(FBA利用)
① 仕入れ原価(FOB価格):500,000円
工場との契約価格。FOB条件の場合、中国の港に積み込まれるまでの費用(工場→港のトラック代・輸出通関料・港での積み込み費用)は工場側の負担となります。
EXW(工場渡し)条件の場合は、工場から港までのトラック費用が別途かかるため注意が必要です(詳細はインコタームズ完全ガイドを参照)。
② 中国国内輸送費:0〜15,000円
FOB条件の場合、この費用は工場負担になるためゼロ。EXW条件の場合、工場から最寄り港(東莞→広州港・深圳港)まで約5,000〜15,000円が発生します。
③ 国際輸送費(オールイン):141,806円
ここがコスト計算で最も変動しやすい項目だ。海上輸送のLCL(混載)の場合、料金は重量・容積・出発地・仕向地・為替・サーチャージの組み合わせで決まります。
DIGISHIPのオールイン料金には以下がすべて含まれている:
- 海上運賃(Ocean Freight)
- CFS料金(コンテナフレートステーション)
- THC(ターミナルハンドリングチャージ)
- BAF(燃油サーチャージ)
- 日本側通関費用
- デバンニング・国内配送(指定倉庫まで)
この「オールイン料金」を出荷前に確定させることが、残りのコスト計算を正確にする起点となります。
輸送費を先に確定させて原価計算を始める
DIGISHIPの料金計算ツールに重量・容積・出荷地を入力すれば、オールイン料金が即座に確認できます。この数字を③に入れることで、④以降の計算が一気に進みます。
▶ 料金計算ツールで輸送費を確認する(無料)
④ 関税の計算
関税の計算式は以下の通りです。
課税価格(CIF価格)= FOB価格 + 国際運賃 + 保険料
関税額 = 課税価格 × 関税率
今回のケースでは:
課税価格 = 500,000円 + 141,806円 + 約2,000円(保険料概算)≒ 643,806円
HSコード 3924.10の関税率 = 基本税率5.8%、WTO協定税率3.9%
。中国からの輸入でRCEP特恵税率が適用される場合は、さらに低い税率(例:2.1%)となる可能性があります。
関税額 = 643,806 × (適用される関税率) ≒ (計算結果)円」
中国輸入で頻出する品目の関税率の調べ方・計算の詳細は関税計算ガイドで解説しています。
保険料の判断基準は 保険の選び方 をご覧ください
⑤ 輸入消費税の計算
輸入消費税の課税標準 = 課税価格 + 関税額
輸入消費税 = 課税標準 × 10%
今回のケースでは:
課税標準 = 643,806 + 25,108 = 668,914円
輸入消費税 = 668,914 × 0.10 ≒ 66,891円
輸入消費税は仕入税額控除の対象となるため、消費税の申告が適切に行われていれば実質的な負担はゼロになる(課税事業者の場合)。ただし原価計算上は一時的に資金が拘束されることを考慮しておきたいです。
⑥ 国内配送費:5,000〜30,000円
DIGISHIPのオールイン料金には指定の倉庫(デバンニング拠点)までの国内配送が含まれているが、そこから自社倉庫・Amazon FBA倉庫への2次配送は別途発生する場合があります。
FBA向けは50〜100kgあたり5,000〜20,000円程度が目安だが、配送会社・ルートにより変動します。
⑦ FBA手数料(Amazon販売の場合)
FBA手数料はAmazonの出品画面(セラーセントラル)で商品ごとに確認できる。主な内訳は以下の通りです。
- FBA納品・管理手数料(1個あたり100〜400円程度)
- 在庫保管手数料(月次で発生、長期在庫は割増)
- Amazonの販売手数料(カテゴリにより8〜15%)
原価計算サマリーと粗利シミュレーション
| コスト項目 | 金額 | 1個あたり(200個換算) |
|---|---|---|
| ① 仕入れ原価(FOB) | 500,000円 | 2,500円 |
| ② 中国国内輸送(FOB条件のため) | 0円 | 0円 |
| ③ 国際輸送費(オールイン) | 141,806円 | 709円 |
| ④ 関税 | 25,108円 | 126円 |
| ⑤ 輸入消費税(仕入税額控除前) | 66,891円 | 334円 |
| ⑥ 国内配送費 | 15,000円 | 75円 |
| ⑦ FBA手数料(例:200円/個) | 40,000円 | 200円 |
| 総仕入れ原価 | 788,805円 | 3,944円 |
販売価格を8,000円に設定した場合:
粗利 = 8,000 – 3,944 = 4,056円(粗利率 50.7%)
販売価格を6,000円に設定した場合:
粗利 = 6,000 – 3,944 = 2,056円(粗利率 34.3%)
この計算を出荷前に完了させておけば、販売価格の設定根拠が明確になる。
為替変動を加味した原価シミュレーション
中国輸入の原価計算で見落としがちなのが為替リスクだ。仕入れ原価はCNY(人民元)または USD(米ドル)建てで決まることが多く、円安が進むと円換算の仕入れ原価が膨らみます。
同じ商品を3つの為替レートで計算した場合の比較です(仕入れ原価がUSD建て3,500ドルと仮定):
| 為替レート(USD/JPY) | 仕入れ原価(円換算) | 総原価(1個あたり) | 販売価格8,000円の場合の粗利率 |
|---|---|---|---|
| 130円(円高) | 455,000円 | 約3,600円 | 55.0% |
| 150円(現状) | 525,000円 | 約3,944円 | 50.7% |
| 170円(円安) | 595,000円 | 約4,300円 | 46.2% |
為替が130円から170円に動くだけで、粗利率が約9ポイント変動する。継続的に輸入している事業者は、為替の許容範囲を設定したうえで、「この為替レートまでなら採算が合う」というラインを原価計算表に組み込んでおくと、仕入れの意思決定を素早く行える。
為替リスクを軽減する実務的な対策
- 発注と支払いのタイミングを分けない:発注から入金まで時間が空くと為替が変動するリスクがある。前払い比率を下げるよりも、決済タイミングと仕入れ計画を連動させる方が管理しやすい。
- USD建てと円建てのコスト比率を意識する:輸送費(DIGISHIPのオールイン料金は円建てで確定)を先に固定することで、為替変動の影響を仕入れ原価のみに限定できる。
- 為替バッファを原価に5〜8%乗せる:円安リスクを原価テーブルに織り込み、想定外の円安でも採算が崩れないように設計する。
原価計算を効率化する3つのポイント
ポイント1:輸送費を先に確定する
原価計算の7項目のうち、最も早期に確定できるのが③国際輸送費です。DIGISHIPの料金計算ツールで重量・容積・出荷地を入力すれば、オールイン料金が即座に確認できる。輸送費が先に決まれば、課税価格の計算・関税・消費税の試算が一気に進みます。
「仕入れ価格が決まったら輸送費を聞いてみよう」という後回しの習慣が、原価計算の遅れを招く。発注の前段階で輸送費を確認し、それを原価計算の軸にする流れが最も効率的です。
ポイント2:HSコードを先行して確認する
関税額は品目のHSコードによって大きく変わります。同じ「プラスチック製品」でも、HSコードの分類次第で関税率が0%になる場合も15%になる場合もある。新規品目を仕入れる際は、発注前にHSコードと関税率を確認しておくことを強く推奨します。
HSコードに関するリスクと確認方法の詳細はHSコードリスク記事を参照いただきたいです。
ポイント3:テンプレートをSKU別に管理する
扱う品目が複数ある場合、品目別の原価計算シートをGoogleスプレッドシートで管理することをお勧めします。為替レート・輸送費・関税率を更新するだけで全品目の原価が自動再計算される設計にすると、月次の原価管理がシステム化できます。
まとめ:「輸送費が先、残りはそこから計算する」
中国輸入の原価計算を正確にするための最短ルートは、「DIGISHIPの料金計算ツールで輸送費を先に確定し、残りの変動要素(関税・消費税・国内配送・FBA手数料)を加えれば総原価が完成する」という設計です。
輸送費という最大の変動費を先に固定することで、原価計算全体のスピードと精度が上がる。
検品コストを原価に組み込む方法については、中国輸入の検品方法と品質管理を参照いただきたい。出荷前の検品費用も含めて原価設計することで、不良品リスクによる追加コストを事前に織り込める。
また、輸送費に含まれる各種サーチャージの内訳については、見積書の読み方で詳しく解説している。
原価計算の「輸送費」をまず確定させたい方へ
重量・容積・出荷地を入力するだけで、通関費・国内配送を含むオールイン料金が即座に確認できます。原価計算の起点として活用ください。
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