「航空が高すぎる」という課題全般・代替手段の概要についてはこちらをご覧ください。このページでは重量・粗利率・納期の条件を使った損益分岐点の具体的な計算方法を解説します。
損益分岐点とは何か
航空から海上に切り替えるかどうかを判断するとき、「どちらが安いか」だけで決めると失敗します。送料が下がっても、納期が延びて欠品が出れば機会損失が発生します。逆に送料を気にして航空を使い続けると、送料だけで利益が消えます。
損益分岐点とは、航空と海上の「トータルの収益」が等しくなる重量・粗利率・納期の条件です。この条件を自分の案件に当てはめて判断することで、感覚ではなく数値で切り替えの判断ができます。
航空と海上の費用構造の違い
航空の費用構造
航空運賃は重量に比例して上がります。チャージャブルウェイト(実重量と容積重量のどちらか大きい方)で計算されます。
- 容積重量の計算:縦(cm)×横(cm)×高さ(cm) ÷ 6,000 = 容積重量(kg)
- 航空運賃の目安:中国→日本で1kgあたり500〜1,500円程度(時期・路線によって変動)
- クーリエ(DHL・FedEx等)の場合:100kgで50,000〜150,000円程度
航空は重量が増えるほど運賃が跳ね上がります。100kgを超えると月単位で数十万円の送料になるケースがあります。
※上記は2026年時点の参考価格です。燃料サーチャージ・為替・時期により変動します。正確な金額は料金計算ツールでご確認ください。
海上の費用構造(オールイン)
海上輸送のオールイン料金は、R/T(重量トンまたは容積トンの大きい方)で計算されます。
- DIGISHIP通常便の料金例:東莞→埼玉 200kg / 4CBM で141,806円(オールイン)
- DIGISHIP通常便の料金例:杭州→千葉 400kg / 6CBM で177,358円(オールイン)
海上は重量が増えても運賃の上昇が緩やかです。物量が増えるほど1kgあたりのコストが下がります。
重量別の費用比較
50kgの場合
- 航空(クーリエ):目安 25,000〜75,000円程度
- 海上(オールイン):目安 50,000〜80,000円程度
- 判断:この重量帯では航空との差が小さい。納期重視なら航空、コスト重視なら海上を検討
100kgの場合
- 航空(クーリエ):目安 50,000〜150,000円程度
- 海上(オールイン):目安 60,000〜100,000円程度
- 判断:海上の優位性が出始める重量帯。納期に1〜2週間余裕があれば海上を検討する価値あり
200kgの場合
- 航空(クーリエ):目安 100,000〜300,000円程度
- 海上(オールイン):目安 100,000〜180,000円程度
- 判断:海上が明確に有利になる重量帯。送料差が月単位で積み上がるため、切り替えを真剣に検討すべき
500kgの場合
- 航空(クーリエ):目安 250,000〜750,000円程度
- 海上(オールイン):目安 150,000〜250,000円程度
- 判断:航空を使い続ける合理的な理由がほぼなくなる重量帯。送料差が月に数十万円になるケースがある
上記はあくまで目安です。実際の費用は出荷地・配送先・時期によって変わります。
粗利率で変わる判断
粗利率20%以下の場合
粗利率が低い場合、送料が利益に与える影響が大きくなります。売上100万円・粗利率20%なら粗利は20万円です。ここに送料が月15万円かかっているなら、粗利のほぼすべてが送料に消えます。
粗利率20%以下で100kg以上の輸送を航空で続けているなら、海上への切り替えを最優先で検討してください。送料を10万円下げるだけで、粗利が50%改善するケースがあります。
粗利率30%以上の場合
粗利率が高い場合、送料の影響は相対的に小さくなります。ただし物量が増えるほど送料の絶対額が増えるため、スケールアップしたタイミングで見直しが必要です。
粗利率が高くても、月200kg以上を航空で運んでいるなら海上との費用差を計算してみてください。
納期が判断を変えるケース
納期の制約が強い場合は、送料の計算だけで判断できません。以下のケースでは航空を維持するか、高速フェリーを使う選択肢を検討します。
- FBA納品期限が厳しく、在庫切れが売上に直結する
- 季節商品でピーク前に必着する必要がある
- 受注生産で顧客への納品期限が決まっている
ただし「納期が不安だから航空」という判断の多くは、工程設計を見直すことで解決できます。海上輸送のリードタイムを正しく把握して、発注・出荷スケジュールを逆算してください。詳しくは海上輸送のリードタイムの考え方をご覧ください。
自分の案件で損益分岐点を計算する方法
以下の手順で、自社の案件における航空と海上の費用を比較してください。
- ①現在の航空送料を確認する:直近3ヶ月の請求書から月間平均を算出する。「輸送費合計÷月間重量」で1kgあたりのコストを計算する
- ②海上輸送のオールイン料金を確認する:DIGISHIPの料金計算ツールに出荷地・重量・CBM・配送先を入力して目安を取得する
- ③リードタイム延長による在庫コストを計算する:海上切り替えでリードタイムが約2週間延びる場合、2週間分の在庫を追加で持つ必要がある。在庫コスト=追加在庫量×仕入れ単価×資金コスト率
- ④年間の差額を計算する:(航空月間送料−海上月間送料)×12ヶ月 − 在庫コスト増加分 = 年間純削減額
年間純削減額がプラスなら切り替えが合理的です。多くの場合、100kg以上の継続輸入では年間数十万〜数百万円の削減になります。
切り替え判断のチェックリスト
- 現在の月間輸送重量を把握しているか
- 現在の航空送料の月額合計を把握しているか
- 海上輸送(オールイン)の料金目安を確認したか
- 粗利率に対して送料が占める割合を計算したか
- 納期に2週間以上の余裕を作れるか確認したか
- HSコードは確定しているか
よくある失敗パターン
納期だけ見て航空を選び続ける
「海上は遅いから」という理由だけで航空を使い続けるケースがあります。実際には発注リードタイムを調整するだけで海上に切り替えられる案件が多い。送料の差額を計算せずに判断を先送りすることで、毎月数十万円の送料差を払い続けていることがあります。
送料だけ見て海上に切り替えて欠品が出る
「海上の方が安い」という理由だけで切り替えて、納期の読み方を間違えて欠品が出るケースがあります。海上輸送のリードタイムは航海日数だけでは決まりません。港前後の工程を含めた総リードタイムを把握してから切り替えてください。
送料の目安を今すぐ確認する
出荷地・重量・配送先を入力するだけで海上輸送のオールイン料金の目安がわかります。今の航空送料と比較してみてください。
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案件の条件を相談したい方へ
「航空から海上に切り替えるべきか判断したい」など、状況をそのまま書いてください。
