結論:中国から日本への船便は、航海日数だけでは納期を判断できません。工場で貨物を出せる日から、日本の配送先で受け取る日までの全工程を、希望納品日から逆算します。
固定の「中国から日本まで何日」という数字は、航路、出荷地、到着港、船社、直行・経由、通関、国内配送、時期によって外れます。このページでは、総所要期間を組み立てる方法を説明します。
航海日数と総所要期間は違う
航海日数は、船が出港してから到着港へ着くまでの一部分です。実際の納期には、その前後の集荷、搬入、通関、荷役、国内配送が加わります。
| 工程 | 確認する日・条件 | 遅れにつながる例 |
|---|---|---|
| 中国側集荷 | 梱包完了日、集荷可能日、工場住所 | 製造完了後も梱包・書類が終わっていない |
| 輸出通関 | 申告資料、商品説明、規制確認 | 品名、数量、金額、重量の不一致 |
| 搬入・カット日 | CFS・CYへの搬入締切と書類締切 | 締切に間に合わず次便になる |
| 船積み | 予約、予定本船、出港予定 | 満船、抜港、予定変更 |
| 国際輸送 | 出港、寄港、経由、到着予定 | 天候、港湾混雑、航路変更 |
| 日本側荷役 | 荷卸し、CFS作業、貨物引渡し可能日 | 混雑、仕分け、書類到着待ち |
| 輸入通関 | 申告予定、他法令、検査の可能性 | 資料不足、税関・他法令の確認 |
| 国内配送 | 集荷可能日、配送予約、荷受け条件 | 車両不足、時間指定、荷降ろし条件 |
納期表には三つの日付を分けて記録する
輸送中の日付には、「予定」「確定」「実績」があります。この三つを同じ欄へ上書きすると、どの工程で遅れたか分からなくなります。
| 日付の種類 | 意味 | 使い方 |
|---|---|---|
| 予定日 | 予約前または変更可能性のある見込み | 在庫計画には余裕を加えて使う |
| 確定日 | 予約、搬入、配送などが確定した日 | 関係者へ共有し、次工程を手配する |
| 実績日 | 実際に集荷・搬入・出港・通関・納品した日 | 次回の計画と遅延原因の検証に使う |
船の出港・到着予定は変更されることがあります。予定が変わったときは、古い日付を消さず、変更前後と連絡を受けた日を残してください。
遅れやすい工程を先に確認する
工場の「完成日」と集荷可能日は別
製造が終わっても、輸送用の梱包、カートン数、実重量、CBM、インボイス、パッキングリストがそろわなければ集荷できません。工場には「いつ製造が終わるか」ではなく、「いつ梱包済みで集荷できるか」を確認します。
出港日より先にカット日を見る
カット日は、船積みに必要な貨物や書類の締切です。出港予定に間に合うように見えても、搬入締切を過ぎれば予定便へ積めないことがあります。詳しくはカット日と逆算スケジュールで確認してください。
日本到着後にも作業がある
船が港へ到着しても、その日に配送先へ届くとは限りません。荷役、LCLの取り出し・仕分け、輸入通関、国内配送の手配が続きます。港到着日と納品日を同じ日に置かないでください。
書類・規制確認が遅れる
インボイスとパッキングリストの不一致、商品説明不足、他法令の未確認などがあると、通関前後で追加資料が必要になることがあります。出荷前に商品資料と申告書類を確認します。
予約済みでも予定どおり積まれない場合がある
予約が入っていても、貨物の搬入遅れ、通関未了、船のスケジュール変更、港湾混雑などにより、予定していた船へ積めない場合があります。「予約済み」と「船積み完了」を分けて管理します。
確認する情報は、予約番号、予定本船、貨物搬入の完了、輸出許可、実際の船積み、実出港です。予定変更があった場合は、次便だけでなく、日本側の通関予約と配送予約への影響も確認してください。
通関許可と配送可能日は同じとは限らない
輸入許可が出ても、CFSからの貨物引取り、配送車両、納品先予約が整わなければ配送できません。とくに荷受け時間が限られる倉庫、予約制の納品先、特殊な荷降ろしが必要な貨物は、通関前から配送条件を共有します。
希望納品日から逆算する方法
- 日本の配送先で受け取る必要がある日を決める
- 荷受け可能曜日、時間、予約、荷降ろし条件を確認する
- 国内配送に必要な手配期間を確認する
- 輸入通関、検査、CFS作業に必要な余裕を置く
- 到着港と航路の予定を確認する
- 船積み予定とカット日を確認する
- 中国側の輸出通関とCFS・CY搬入日を決める
- 工場の梱包完了日と集荷可能日を確定する
各工程を一つの日数で固定せず、通常時の予定と、遅れた場合の余裕を分けて記録します。
逆算表に入れる管理項目
| 管理地点 | 担当者へ確認する内容 | 完了の証拠 |
|---|---|---|
| 工場出荷準備 | 梱包、数量、重量、CBM、書類 | 梱包明細、写真、集荷可能連絡 |
| 中国側集荷 | 集荷日、車両、搬入先 | 集荷完了・倉庫受入れ連絡 |
| 輸出通関・搬入 | 申告、許可、貨物・書類の締切 | 輸出許可、搬入確認 |
| 船積み・出港 | 実際の本船、出港、到着予定 | B/L等の船積書類、出港連絡 |
| 日本到着・通関 | 到着、書類、申告、検査 | 到着案内、輸入許可 |
| 国内配送 | 引取可能日、車両、納品予約 | 配送確定、受領記録 |
完了の証拠を残す目的は、関係者を責めることではありません。次回の計画で、予定と実績の差を同じ工程ごとに比較するためです。
間に合わないときの選択肢
通常海上の工程を前倒しする
まず、輸送方法を変えずに待ち時間を減らせないか確認します。工場の梱包完了を早める、書類を事前確認する、カット日を共有する、日本側の通関・配送資料を先にそろえる方法があります。
高速フェリー等の中間手段を検討する
通常海上では希望納品日に届かず、全量航空では費用負担が大きい場合の候補です。使える航路、出荷地、商品、締切、集荷と国内配送を含む総所要期間を確認します。
一部航空・分割輸送にする
欠品を避けるために必要な数量だけ航空やクーリエで先行し、残りを海上で送ります。分割により、梱包、書類、通関、集荷などの固定費が重複する可能性も確認してください。
発注時期と在庫計画を見直す
毎回同じ納期問題が起きる場合、輸送方法だけでは解決しません。発注点、安全在庫、製造期間、検品、繁忙期前の前倒し発注を見直します。
輸送方法を変える前の判断表
| 状況 | 先に検討する対応 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 通常海上でも間に合う可能性がある | 梱包、書類、搬入、国内配送を前倒し | 航海以外の待機時間 |
| 通常海上では余裕が不足する | 高速フェリー等の中間手段を比較 | 利用可能な航路・品目・締切 |
| 一部数量だけ緊急 | 必要数量を航空、残りを海上へ分割 | 分割による固定費と書類管理 |
| 全量が納品期限を超える | 航空を含む複数案の総額と損失を比較 | 欠品・契約・販売停止の影響 |
| 同じ遅延を繰り返している | 発注点、在庫、工場出荷条件を見直す | 輸送方法だけを原因にしない |
分割輸送では、先行させる数量を「送れるだけ」ではなく、次の海上貨物が届くまでに必要な販売・生産数量から決めます。航空費だけでなく、分割梱包、書類、集荷、通関の重複も比較してください。
通常海上、航空、中間手段の条件比較は、中国輸入・輸送見積設計ツールで整理できます。
春節・国慶節などの繁忙期
春節、国慶節、連休前後は、工場休業、出荷集中、車両・倉庫・船腹の混雑が重なりやすくなります。休業日だけでなく、休業前の最終集荷日、連休後の生産再開日、予約状況を確認してください。
日程は年ごとに変わります。最新の影響と確認事項は、中国物流カレンダーで確認します。
輸送中の更新ルールを決める
納期表は作成時点で終わりではありません。次の節目で予定を更新します。
- 工場が梱包を完了したとき
- 中国側で集荷・搬入を完了したとき
- 輸出許可と船積みを確認したとき
- 実出港と到着予定の変更が分かったとき
- 日本側で申告・検査・許可の状況が変わったとき
- 国内配送日が確定したとき
変更連絡には、「何が変わったか」「新しい予定」「次工程への影響」「次の確認日時」を含めます。単に「遅れています」と共有するだけでは、在庫や販売の判断に使えません。
納期確認チェックリスト
- 希望納品日と、遅れてもよい最終日を分けた
- 工場の製造完了日ではなく集荷可能日を確認した
- 梱包後の重量、CBM、カートン数が分かる
- 中国側の集荷日と搬入先を確認した
- 貨物と書類のカット日を確認した
- 予定航路が直行か経由か確認した
- 日本側の荷役、通関、国内配送を日程に入れた
- 検査や書類照会が起きた場合の余裕を置いた
- 繁忙期と工場休業の影響を確認した
- 通常海上、中間手段、一部航空を比べた
関連ページ
条件がそろった場合の輸送相談
1回200kg以上の中国から日本への業務輸送で、商品内容、出荷地、配送先、重量の目安が分かる場合は、cn-import.jpの輸送相談フォームへ進めます。相談内容はDIGISHIPへ共有され、最初の連絡からDIGISHIP担当者が対応します。
参考情報
- JIFFA 用語集(カット日、CFS、Arrival Noticeなど)
