中国輸入の関税計算ガイド|HSコード別の税率一覧と原価への組み込み方
中国から商品を輸入する場合、支払うべきコストは輸送費だけではない。関税と輸入消費税が加算された時点で、初めて「実際の輸入コスト」が確定する。にもかかわらず、関税計算を後回しにして発注してしまう担当者は多いです。
本記事では、関税の計算式、課税価格の算出方法、品目別の税率、RCEP特恵税率の活用方法、そして総輸入コストの試算表まで、実務に必要な情報を一括で解説します。
関税率の確認にあたっては、事前にHSコード未確定のリスクも把握しておくこと。税関の判断によって税率が変わるケースがあるためです。
1. 関税の計算式と基本構造
関税の計算式は次のとおりです。
関税額 = 課税価格(CIF価格) × 関税率
関税率はHSコード(品目分類コード)によって品目ごとに決まる。同じ「雑貨」でも素材や用途が異なれば税率が変わるため、HSコードの特定が関税計算の出発点になります。
関税率は財務省が公開する実行関税率表(税関公式サイト)で確認できる。基本税率・協定税率・特恵税率が並んでいるため、適用される税率がどれかを正しく判断します。
中国からの輸入に通常適用されるのはWTO協定税率だ。ただしRCEP(地域的な包括的経済連携協定)の条件を満たす場合は、さらに低いRCEP特恵税率が適用されます。
2. 課税価格(CIF価格)の算出方法
関税の計算に使う「課税価格」は、原則としてCIF価格(輸入港に到着するまでの費用合計)で計算します。
課税価格(CIF価格)= FOB価格(工場渡し商品代金) + 海上運賃 + 保険料
FOB価格とは、中国の積出港で船積みされるまでにかかる費用(商品代金+中国国内輸送費)を指す。インボイスにFOB価格が記載されていれば、そこに海上運賃と保険料を加えた金額が課税価格になる。なお、課税価格はインコタームズによって変わります。
数値例:FOB価格から課税価格を計算する
| 項目 | 金額(円換算) |
|---|---|
| FOB価格(商品代金) | 500,000円 |
| 海上運賃(東莞→横浜、LCL) | 38,500円 |
| 海上保険料(任意) | 3,000円 |
| 課税価格(CIF価格) | 541,500円 |
※ 海上運賃は2025年時点の参考価格です。実際の料金は時期・物量によって異なります。
インボイス価格が米ドル建ての場合は、輸入申告日の税関公示レートで円換算する。FXの市場レートとは異なるため注意が必要です。
課税価格の詳細な計算方法は、輸入コストの全体構造も合わせて参照してほしいです。
3. 品目別の関税率一覧(中国輸入で頻出の品目)
以下に中国輸入で頻繁に取り扱われる品目の関税率(WTO協定税率)を示します。
| 品目 | HSコード(例) | WTO協定税率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| プラスチック製食器(皿・コップ等) | 3924.10 | 3.9% | 食品衛生法の確認が必要 |
| 綿素材Tシャツ(メンズ) | 6109.10 | 10.9% | 素材混率でコードが変わる |
| LEDデスクランプ | 9405.11 | 3.2% | PSE認証の確認が必要 |
| ステンレス製水筒 | 9617.00 / 7323.93 | 3.9% / 3.9% | 保温機能の有無でコードが分かれる場合がある |
| アルミ製家具(フレーム) | 9403.10 | 無税(0%) | 素材・構造によって変動あり |
| 木製家具(チェア・テーブル) | 9401.61 / 9403.60 | 無税(0%) | 植物検疫(木材)の確認が必要 |
| 電子部品(プリント基板等) | 8534.00 | 無税(0%) | 用途・仕様で分類が変わる |
| 合成繊維製ニット衣料 | 6110.30 | 10.9% | 素材の申告が重要 |
| おもちゃ(プラスチック製) | 9503.00 | 無税(0%) | 電池内蔵品はPSE対象 |
| ガラス製食器 | 7013.37 | 3.2% | 食品衛生法の確認が必要 |
※ 上記税率はWTO協定税率(一般税率)です。HSコードの最終判断は税関に帰属します。輸入前に必ず実行関税率表(税関公式)で最新の税率を確認してください。
アパレル(衣類)は関税率が高い傾向がある。素材の混率(綿100%・ポリエステル混等)によって適用コードが変わるため、サプライヤーに正確な素材情報を確認してからHSコードを特定します。
4. 輸入消費税の計算と納付タイミング
輸入する際は関税に加えて輸入消費税(10%)も課される。計算の基礎は「課税価格+関税額」です。
輸入消費税額 =(課税価格 + 関税額) × 10%
数値例
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 課税価格(CIF) | 541,500円 |
| 関税額(税率3.9%) | 21,118円 |
| 関税額+課税価格の合計 | 562,618円 |
| 輸入消費税(10%) | 56,261円 |
消費税は輸入申告時に税関に納付する。通常は通関業者(フォワーダー)が立替払いし、後から荷主に請求する仕組みになっています。
消費税の仕入税額控除:消費税の課税事業者であれば、輸入時に支払った消費税は仕入税額控除の対象となる。ただし輸入許可書の保管が要件となるため、通関書類は必ず保管すること。免税事業者の場合は控除できないです。
輸入関税・消費税の詳細については税関公式サイトよくある質問も参照します。。
5. RCEP特恵税率の活用方法(3つの証明方式)
2022年1月に発効したRCEP(地域的な包括的経済連携協定)により、中国原産の製品についてはWTO協定税率より低い特恵税率が適用される品目があります。
RCEP特恵税率を適用するには、商品が「中国原産品」であることを証明する書類が必要だ。証明方式は以下の3種類です。
方式1:第三者証明(最も一般的)
中国の商工会議所など、政府が認定した第三者機関が発行する原産地証明書(Form RCEP)を取得する方式です。
- 取得先:中国国際貿易促進委員会(CCPIT)・各地商工局など
- 費用:1通あたり数百元程度(サプライヤーが代行することが多い)
- 注意点:証明書には有効期限(発行から12ヶ月)がある。毎回の輸入ごとに取得が必要
- 適した場面:取引先が定まっていて、サプライヤーに取得を依頼できる場合
方式2:認定輸出者による自己申告
中国の輸出者が自国当局から「認定輸出者」の資格を取得している場合、原産地証明書なしでインボイス上に原産地申告文言を記載することで証明できる方式です。
- 利点:証明書の取得・送付が不要で手続きが簡素化される
- 注意点:サプライヤーが認定輸出者であることを事前に確認する必要がある
- 適した場面:大手メーカーや輸出実績が多いサプライヤーとの取引
方式3:輸入者による自己申告
日本の輸入者(自社)が原産品であることを申告する方式だ。ただし申告の根拠としてサプライヤーから入手した原産品申告書などの資料保管が義務付けられています。
- 利点:毎回の証明書取得が不要になる
- 注意点:税関から根拠資料の提出を求められた場合に対応できるよう、関連書類を5年間保管する必要がある
- 適した場面:継続的に同一商品を仕入れており、原産地の確認が済んでいる場合
RCEP特恵税率の活用可否と節税効果は品目によって大きく異なる。適用の要否についてはJETRO RCEP活用ガイドで確認できます。
6. 総輸入コストの試算表
関税と消費税を加えた「真の輸入コスト」を出荷前に把握することで、販売価格を事前に設定できる。以下に実際の数値例で試算表を示します。
試算条件
- 出荷地:広東省東莞市
- 仕向地:埼玉県(内陸デバンニング)
- 物量:200kg / 4CBM(LCL海上輸送)
- 品目:プラスチック製食器(HSコード:3924.10)
- FOB価格:500,000円
- 関税率:3.9%(WTO協定税率)
試算表
| コスト項目 | 計算根拠 | 金額 |
|---|---|---|
| ①仕入れ原価(FOB) | 商品代金 | 500,000円 |
| ②輸送費(オールイン) | 東莞→埼玉、LCL海上輸送、200kg/4CBM | 141,806円 |
| ③海上保険料(任意) | (500,000+38,500)× 110% × 0.3% | 約1,777円 |
| ④課税価格(CIF) | ①FOB+運賃相当額(38,500)+③保険料 | 540,277円 |
| ⑤関税額 | ④ × 3.9% | 21,071円 |
| ⑥輸入消費税 | (④+⑤)× 10% | 56,135円 |
| ⑦総輸入コスト合計 | ①+②+⑤+⑥ | 719,012円 |
| 商品1個あたりのコスト(100個の場合) | ⑦ ÷ 100個 | 7,190円/個 |
※ 輸送費は2025年時点の参考価格です。関税率はWTO協定税率を適用した試算です。実際の申告税率は税関が決定します。
この試算表のように、FOB価格500,000円の商品に対して関税・消費税・輸送費の合計が219,012円加算される。輸送費だけで原価計算していた場合、約7.7万円(関税+消費税)が計算から抜け落ちることになります。
オールイン料金の詳細な内訳についてはオールイン料金の総額固定の仕組みを参照してほしい。また港湾費用の詳細は港湾費用の内訳で確認できます。
💬 関税込みの総コストを相談したい場合
品目・物量・出荷地の条件が決まっていれば、輸送費+関税の目安を事前に把握できる。まず料金計算ツールで輸送費を確認し、不明点は相談フォームからご連絡ください。
7. 関税・消費税の支払い手順
実務上の支払いフローを確認しておく。
- 輸入申告:通関業者(フォワーダー)が税関に輸入申告書を提出する
- 審査・検査:税関が申告内容を審査する(書類審査または現物検査)
- 関税・消費税の納付:通関業者が立替払いし、後日荷主に請求する(一般的なフロー)
- 輸入許可:納付確認後に輸入許可が下り、貨物が引き渡される
フォワーダーからの請求書には「関税立替金」「消費税立替金」として別途明示される。見積書・請求書の読み方で請求書の各項目の意味を確認しておくことをお勧めします。
なお、輸入消費税が50万円を超える場合は担保を提供することで納期限の延長(特例延長)が認められるケースがある。大口輸入の場合は通関業者に確認します。
関税を含めた全コストを一覧管理するには 原価計算テンプレート を活用してください
まとめ
- 関税額は「課税価格(CIF)× 関税率」で計算する
- 課税価格はFOB価格+海上運賃+保険料で構成される
- 輸入消費税は「(課税価格+関税額)× 10%」で計算する
- RCEPを活用すれば一部品目で関税率を下げられる(第三者証明・認定輸出者・自己申告の3方式)
- 「FOB価格+オールイン輸送費+関税+消費税」の合計が真の輸入コストになる
- この総額を出荷前に試算することで、逆算した販売価格の設定が可能になる
輸送費の計算はDIGISHIPの料金計算ツールで即座に確認できる。関税率が確定した品目であれば、本記事の計算式と組み合わせて総輸入コストを事前に把握してほしい。
免責事項
本記事の内容は輸入通関に関する一般的な情報です。通関の最終判断は税関に帰属するため、本情報は許可を保証するものではありません。HSコードの分類・税率の適用については、輸入前に税関または通関士に確認することを推奨します。
