中国輸入の関税計算|輸入消費税・課税価格・HSコードを解説

中国から日本へ業務輸入する際の関税と輸入消費税は、商品代金だけでは計算できません。先にHSコード、原産地、課税価格、適用税率を確認する必要があります。

基本的な流れは、課税価格を求め、関税を計算し、その後に輸入消費税と地方消費税を計算する順序です。ただし、実際の税額は品目分類、原産地、申告時点の法令、加算要素、端数処理などによって変わります。

このページでは、中国から日本へ販売用・事業用の商品を輸入する場合を前提に、計算前に確認する情報と税額の考え方を整理します。

関税計算の前に確認する情報

関税率を調べる前に、次の情報をそろえます。商品名だけではHSコードや税率を判断できない場合があります。

確認項目 確認する内容 主な用途
商品情報 材質、用途、構造、成分、加工状態、型番など HSコードの検討
原産地 商品が原産品として認められる国・地域 適用税率やEPA・RCEPの確認
商品価格 実際に支払った、または支払うべき価格 課税価格の計算
国際運賃 日本の輸入港までの運送費用 課税価格への加算確認
保険料 輸入港までの運送に関する保険料 課税価格への加算確認
取引条件 FOB、CIF、EXWなどの条件と指定場所 価格に含まれる費用の確認
その他の費用 梱包費、ロイヤルティー、無償提供物など 加算要素の確認

特に重要なのは、Invoice価格にどこまでの費用が含まれているかです。同じ商品価格でも、FOB、CIF、EXWなどの取引条件によって、別途加算を検討する費用が異なります。

取引条件と費用負担の確認方法は、中国輸入におけるインコタームズの解説をご確認ください。

HSコードから関税率を確認する

HSコードは、輸出入される商品を分類するための番号です。日本の輸入申告では、商品の材質、用途、構造、加工状態などを基に分類します。

例えば衣類では、素材だけでなく、織物か編物か、用途、対象者などが分類に影響します。機械部品では、部品名だけでなく、使用する機械や機能、専用部品か汎用品かといった情報が必要です。

関税率はHSコードだけで一律に決まるものではありません。原産地、輸入時期、適用する関税制度なども確認します。

主な関税率の種類

税率の種類 概要
基本税率 関税定率法の別表に定められている基本的な税率
暫定税率 政策上の必要性から、一定期間、基本税率に代わって適用される税率
協定税率 WTO協定に基づき、一定の条件で適用される税率
EPA・RCEP税率 各協定の原産地規則などを満たす場合に適用を検討できる税率
特恵税率 対象となる開発途上国・地域の原産品に適用されることがある税率

どの税率を優先して適用するかにはルールがあります。税率表で最も低い数字を選べばよいわけではありません。輸入申告時点の実行関税率表と適用条件を確認してください。

HSコードの判断が難しい場合は、商品の仕様書、写真、材質表、成分表、用途説明などを準備したうえで、税関の事前教示制度や通関を担当する専門家への確認を検討します。

課税価格に含まれる費用

輸入貨物の課税価格は、原則として、輸入取引において買手が売手に対して実際に支払った、または支払うべき価格に、一定の費用を加えて計算します。

単純化すると、次のように整理できます。

課税価格の基本的な考え方=商品価格+日本の輸入港までの運賃・保険料+その他の加算要素

主な加算要素

  • 輸入港までの運送費用と保険料
  • 買付手数料を除く仲介料や手数料
  • 容器代や包装費用
  • 買手が無償または値引きして提供した材料、金型、工具などの費用
  • 輸入貨物に関係するロイヤルティーやライセンス料
  • 輸入後の売上代金の一部が売手へ帰属する場合の金額

中国の工場へ金型、原材料、ラベル、パッケージデザインなどを無償提供している場合は、Invoiceに記載された商品代金以外の費用が課税価格に影響する可能性があります。

課税価格に含めないことがある費用

輸入後の据付費、組立費、整備費、日本国内の運送費などは、商品価格と明確に区分され、税関の要件を満たす場合、課税価格に含めないことがあります。

ただし、Invoiceから任意に差し引けるわけではありません。契約書、Invoice、費用明細などにより、費用の内容と金額を確認できる状態にしておく必要があります。

関税額の基本的な計算方法

関税額は、課税価格に適用関税率を掛けて計算します。

関税額=関税の課税標準×関税率

税関の計算では、品目ごとの課税価格について1,000円未満を切り捨てた金額を課税標準とし、算出した関税額の100円未満を切り捨てるのが基本です。

複数の品目や税率がある申告では、品目ごとに計算し、所定の方法で合計します。Invoice総額へ一つの税率を掛けるだけでは正しい税額にならない場合があります。

輸入消費税と地方消費税の計算

関税がかからない商品でも、輸入消費税と地方消費税が発生することがあります。「関税率0%」と「輸入時の税金が0円」は同じ意味ではありません。

輸入消費税の課税標準は、原則として、課税価格に関税と、該当する場合は酒税やたばこ税などの内国消費税を加えた金額です。

輸入消費税の課税標準=課税価格+関税額+対象となる内国消費税

標準税率対象品では、消費税率10%の内訳として国税7.8%と地方消費税2.2%が扱われます。軽減税率対象品では計算が異なります。

実際の計算では、消費税の課税標準について1,000円未満を切り捨て、国税分を計算した後、地方消費税を所定の方法で計算します。国税と地方税をまとめて単純に10%掛けた結果とは、端数処理により差が生じることがあります。

関税・輸入消費税の計算例

次は計算手順を説明するための仮定例です。商品や税率を特定した実際の申告例ではありません。

  • 商品価格:500,000円
  • 輸入港までの国際運賃:80,000円
  • 保険料:3,400円
  • その他の加算要素・控除対象費用:なし
  • 関税率:説明用として3.9%と仮定
  • 標準税率対象品
  • その他の内国消費税:なし
  • 一品目・一税率として簡略化

1.課税価格を求める

500,000円+80,000円+3,400円=583,400円

2.関税を計算する

関税の課税標準は、583,400円の1,000円未満を切り捨てた583,000円です。

583,000円×3.9%=22,737円

関税額の100円未満を切り捨てるため、関税額は22,700円です。

3.輸入消費税の課税標準を求める

583,400円+22,700円=606,100円

1,000円未満を切り捨て、606,000円を課税標準とします。

4.国税分の消費税を計算する

606,000円×7.8%=47,268円

所定の端数処理後の国税分は47,200円です。

5.地方消費税を計算する

地方消費税は、国税分の消費税額を基に計算します。

47,200円×22÷78=約13,312円

所定の端数処理後の地方消費税は13,300円です。

6.税額を合計する

  • 関税:22,700円
  • 国税分の消費税:47,200円
  • 地方消費税:13,300円
  • 税額合計:83,200円

この例における課税価格と税額の合計は666,600円です。ただし、これは輸入原価の総額ではありません。通関料、検査料、保管料、港や空港で発生する費用、日本国内配送費などは別途確認が必要です。

実際の申告では、品目数、税率区分、軽減税率、他法令、税関判断などにより計算結果が変わります。

EPA・RCEP税率を適用するときの確認事項

中国原産品については、RCEP協定税率を検討できる場合があります。ただし、中国から発送されたという事実だけで適用されるものではありません。

主に次の条件を確認します。

  • 対象商品に協定税率が設定されているか
  • 協定上の品目別原産地規則を満たしているか
  • 原産地を証明するために必要な資料があるか
  • 積送基準などの適用条件を満たしているか
  • 輸入申告時に必要な手続きができるか

原産地は、発送国や売手の所在地と同じとは限りません。中国の工場から発送されても、使用材料や製造工程によっては中国原産品として認められない可能性があります。

また、原産地証明書などの形式だけでなく、製造工程、原材料、HSコード、付加価値など、原産性を裏付ける情報が必要になる場合があります。

協定税率を前提に仕入原価を計算するときは、証明資料を取得できるか、申告期限までに準備できるかも確認してください。

無償品・サンプル・値引き品の注意点

無償品やサンプル

代金を支払わない商品でも、課税価格が自動的に0円になるわけではありません。売買価格を基礎にできない場合は、同種・類似商品の価格などを用いる別の評価方法が検討されます。

「No Commercial Value」や「Sample」と記載するだけでは、課税価格の説明になりません。商品の内容、通常価格、無償となった理由などを確認できる資料を準備します。

値引き品

値引き後の価格をそのまま課税価格にできるかは、値引きの内容や取引条件によって異なります。数量値引き、不良品対応、過去取引の精算など、値引きの理由を契約書や取引記録で説明できるようにします。

Invoice価格を低く記載すれば税額を抑えられるという考え方は適切ではありません。実際の取引価格と申告価格の根拠を一致させる必要があります。

個人輸入の計算方法と混同しない

個人使用を目的とする輸入貨物では、海外小売価格に一定割合を掛けて課税価格を求める取扱いがあります。一方、販売、社内利用、業務利用を目的とする輸入では、原則として商品価格に運賃、保険料、加算要素を加えて課税価格を計算します。

また、課税価格の合計が一定額以下の貨物には簡易税率が適用される場合がありますが、対象外となる品目や、一般税率の適用を希望する場合の取扱いがあります。

「個人輸入の計算例」や「少額貨物の簡易税率」を、そのまま業務輸入の原価計算へ使わないよう注意してください。

課税価格と輸入原価は異なる

課税価格は、関税や輸入消費税を計算するための基準です。輸入原価は、商品を日本国内の指定場所まで届けるために事業者が負担する費用全体を指します。

区分 含まれる主な項目
課税価格 商品価格、輸入港までの運賃・保険料、加算要素
輸入時の税金 関税、輸入消費税、地方消費税、該当する内国消費税
輸入原価 商品代金、国際輸送費、税金、通関関連費用、保管料、国内配送費など

税金だけでなく、輸送費や日本到着後の費用まで含めて確認する場合は、中国輸入にかかる費用の全体像をご覧ください。

計算前チェックリスト

  • 商品の正式名称、用途、材質、構造を確認した
  • HSコードを商品名だけで判断していない
  • 輸入申告時点の実行関税率表を確認した
  • 商品の原産地を発送国だけで判断していない
  • Invoice価格に含まれる費用範囲を確認した
  • 日本の輸入港までの運賃と保険料を確認した
  • 金型、材料、ラベルなどの無償提供物を確認した
  • ロイヤルティーや仲介手数料の有無を確認した
  • 無償品や値引き品の価格根拠を準備した
  • EPA・RCEPを使う場合は原産地規則と証明資料を確認した
  • 関税が無税でも輸入消費税が発生する可能性を考慮した
  • 課税価格と輸入原価を分けて計算した
  • 税関資料に沿った端数処理を行った

輸入原価を試算する

商品価格、国際輸送費、関税、輸入消費税、日本側費用をまとめて整理したい場合は、次のシミュレーターをご利用ください。

総費用シミュレーターで輸入原価を試算する

まだ輸送条件や費用項目が整理できていない場合は、中国輸入の輸送条件を整理できる統合ツールから確認できます。

中国から日本への1回200kg以上の業務輸送で、商品内容、中国側の出荷地、日本側の配送先、重量の目安が分かっている場合は、輸送相談フォームをご利用ください。相談内容はDIGISHIPへ共有され、最初の連絡からDIGISHIP担当者が対応します。

参考情報

制度、税率および税関資料は2026年7月22日時点で確認しています。実際の申告では、最新の実行関税率表、商品情報、原産地、取引内容および税関の判断をご確認ください。