中国から日本へ商品を輸入する際は、すべての案件で同じ書類を使うわけではありません。
必要書類は、通常の業務輸入で毎回確認する基本書類、海上・航空などの輸送方法によって変わる書類、商品や制度によって追加される書類の三つに分けると整理しやすくなります。
重要なのは、書類を集めることだけではありません。Commercial Invoice、Packing List、B/Lなどに記載された品名、数量、重量、荷送人、荷受人などが一致している必要があります。
このページでは、中国から日本へ販売用・事業用の商品を輸入する法人・個人事業主向けに、必要書類、受け取る時期、確認手順を整理します。
中国輸入の書類は三つに分けて管理する
| 区分 | 主な書類 | 確認する目的 |
|---|---|---|
| 通常の輸入で確認する基本書類 | Commercial Invoice、Packing List、商品説明資料 | 取引内容、価格、数量、梱包内容、商品情報の確認 |
| 輸送方法によって変わる書類 | B/L、Sea Waybill、AWB、Shipping Instruction、Arrival Notice | 運送契約、船積み・航空輸送、貨物到着、引き渡しの確認 |
| 商品・制度によって追加される書類 | 原産地証明、保険関係書類、検査証明書、成分表、材質資料、他法令関係書類 | 協定税率、関税評価、商品分類、輸入規制、検査の確認 |
実際に税関へ提出する書類は、商品、取引条件、輸送方法、申告内容によって異なります。税関から契約書、運賃明細書、保険料明細書、価格表、カタログなどの追加提出を求められることもあります。
通常の業務輸入で確認する基本書類
Commercial Invoice
Commercial Invoiceは、売手が買手に対して発行する商業送り状です。輸入申告では、商品の内容、数量、価格、取引条件などを確認する基礎資料になります。
Commercial Invoiceでは、次の項目を確認します。
- 売手の正式名称と住所
- 買手の正式名称と住所
- Invoice番号と発行日
- 注文番号や契約番号
- 商品の具体的な品名
- 型番、材質、用途などの商品特定情報
- 品目ごとの数量と単位
- 品目ごとの単価と金額
- 合計金額と通貨
- 原産国
- インコタームズ、指定場所・指定港、使用する版
- 値引き、無償品、サンプルなどの表示
品名が「goods」「parts」「accessories」「sample」だけでは、商品を特定できない場合があります。一般名称に加えて、用途、材質、型番などを記載し、必要に応じて仕様書や写真を添付します。
無償品やサンプルもCommercial Invoiceから省略しません。数量、品名、申告価格の根拠、無償である理由を確認できるようにします。
FOB、CIF、EXWなどの条件は、三文字だけでなく指定場所・指定港まで確認してください。費用負担範囲の確認は、中国輸入のインコタームズ解説をご覧ください。
Packing List
Packing Listは、どの商品が、どの梱包に、どれだけ入っているかを示す梱包明細書です。通関、貨物確認、倉庫作業、国内配送に使用します。
Packing Listでは、次の項目を確認します。
- 売手・荷送人の名称
- 買手・荷受人の名称
- 関連するInvoice番号
- 商品名、型番、数量
- 梱包番号とカートン数
- 各梱包の内容
- 正味重量と総重量
- 各梱包の外寸
- 総容積
- 梱包形態
- ケースマークや荷印
重量と容積は、工場が見積もった数値ではなく、できる限り梱包完了後の確定値を使用します。容積を確認する場合は、CBM・R/T計算機を利用できます。
輸入申告に必要な商品情報
Commercial InvoiceとPacking Listだけでは、HSコードや他法令の対象を判断できないことがあります。輸入者は、中国工場から商品を特定できる資料も受け取ります。
- 商品写真
- カタログや商品ページ
- 型番と仕様書
- 材質表や成分表
- 商品の用途
- 構造や作動方法
- 完成品か部品か
- セット商品の構成
- 製造工程に関する資料
- 電源、電池、無線機能の有無
HSコードの確定方法そのものは書類管理とは別の論点です。分類に必要な情報が不足する場合は、HSコードが未確定のまま輸入するリスクを確認してください。
輸送方法によって必要になる書類
Shipping Instruction
Shipping Instructionは、B/Lなどの運送書類を作成するため、荷送人側から船会社やフォワーダーへ提出する船積指図です。
一般に、Shipper、Consignee、Notify Party、積地港、揚地港、品名、梱包数、重量、容積などを記載します。
Shipping Instructionの内容が誤っていると、その情報を基に作成されるB/Lドラフトにも誤りが引き継がれます。提出前にCommercial InvoiceとPacking Listを照合してください。
B/L
B/LはBill of Ladingの略で、海上輸送に使用する船荷証券です。貨物の受け取り、運送契約、貨物の引き渡しに関係します。
B/Lドラフトを受け取ったら、次の項目を確認します。
- B/L番号
- Shipper
- Consignee
- Notify Party
- 本船名と航海番号
- 積地港と揚地港
- 品名
- 梱包数
- 総重量と容積
- コンテナ番号やシール番号
- 運賃支払条件
- 発行日や船積日
オリジナルB/Lを使用する場合は、原本の発送と到着予定を確認します。サレンダー処理を行う場合は、処理が完了したかを中国側へ確認してください。どの方法を使うかは、代金決済や貨物引き渡しの条件も踏まえて決めます。
Sea Waybill
Sea Waybillは、海上輸送に使用する海上運送状です。B/Lと異なり、書類原本との引き換えを前提とする流通性のある有価証券ではありません。
原本の到着を待たずに荷渡しを進めやすい一方、売買契約や代金決済の条件によっては適さない場合があります。B/LとSea Waybillのどちらを使用するかは、出荷前に取引先と輸送担当者へ確認します。
AWB
AWBはAir Waybillの略で、航空貨物運送状です。荷送人と運送人との間の運送契約や、貨物を受託したことを確認する書類として使用されます。
AWBでは、AWB番号、Shipper、Consignee、出発空港、到着空港、品名、個数、重量などを確認します。
Arrival Notice
Arrival Noticeは、貨物の日本到着予定を知らせる通知です。船会社、航空会社、フォワーダーなどから発行されます。
到着予定日、B/L番号またはAWB番号、貨物明細、搬入先、請求費用、引き取りに必要な情報などを確認します。
Arrival Noticeは中国工場が作成する書類ではありません。日本側の受信担当者を決め、到着前に見落とさない運用が必要です。
商品や制度によって追加される書類
原産地証明書・EPA・RCEP関係資料
EPAやRCEPの協定税率を適用する場合は、利用する協定に応じた原産地証明書、原産地申告または原産品申告書などを準備します。
証明書だけでなく、原材料表、製造工程表、契約書など、原産品であることを裏付ける資料が必要になる場合があります。
中国から発送されたことだけで、中国原産品と判断することはできません。HSコード、品目別原産地規則、積送基準、RCEP原産国、証明方法などを確認します。
協定税率と関税計算については、中国輸入の関税計算ガイドをご覧ください。
保険証券・保険料明細書
貨物保険を付けた場合は、保険証券や保険証明書、保険料明細書を保管します。
これらは、事故時の保険請求だけでなく、輸入申告における課税価格や保険料の確認資料になる場合があります。保険の対象区間、被保険者、保険金額、貨物内容を確認してください。
検査証明書・成分表・材質資料
商品分類、品質確認、他法令手続のため、次の資料が必要になることがあります。
- 検査証明書や試験成績書
- 原材料表や成分表
- 材質証明書
- 製造工程表
- 安全データシート
- 製品仕様書
- 製造者情報
- 適合性を確認する資料
中国工場が発行した資料であっても、対象となる型番、製造者、試験方法、発行日が今回の輸入品と一致しているかを確認します。
追加確認が必要な商品
| 商品分野 | 事前に確認する主な資料 |
|---|---|
| 食品、添加物、食器、容器包装など | 原材料、製造工程、製造者情報、衛生証明書、試験成績書など |
| 化粧品や医療機器に該当する可能性がある商品 | 成分、用途、効能表現、構造、製造者、許可・届出・輸入確認に関する資料 |
| Wi-Fi、Bluetoothなどの無線機能を持つ商品 | 無線方式、周波数、出力、モジュール型番、電波法上の適合確認資料 |
| 電気用品安全法の対象となる可能性がある商品 | 定格、回路、試験資料、製造者、対象区分、表示に関する資料 |
| 危険物や電池を含む商品 | 安全データシート、電池仕様、試験資料、梱包情報など |
必要な手続きは、商品名だけでは判断できません。用途、成分、構造、表示、販売方法などによって変わります。食品、危険物、規制品、特殊貨物は、出荷前に関係官庁、通関担当者、輸送担当者へ対応可否を確認してください。
Invoice・Packing List・B/Lを照合する
書類ごとの内容が正しくても、書類間で情報が一致していなければ確認が止まることがあります。
| 照合項目 | 確認する書類 | よくある不一致 |
|---|---|---|
| 品名・型番 | Invoice、Packing List、B/L、商品資料 | 略称、旧型番、総称が混在している |
| 数量 | 発注書、Invoice、Packing List | 無償品や予備品が一方の書類にない |
| 価格 | 契約書、発注書、Invoice | 値引き前後の価格や通貨が一致しない |
| 梱包数 | Packing List、B/LまたはAWB | 梱包変更前の箱数が残っている |
| 重量・容積 | Packing List、B/LまたはAWB | 見積値と梱包後の確定値が混在している |
| 荷送人 | Invoice、Shipping Instruction、B/LまたはAWB | 工場名、輸出者名、商社名が整理されていない |
| 荷受人 | Invoice、Shipping Instruction、B/LまたはAWB | 法人名、住所、担当部署の表記が異なる |
| 取引条件 | 契約書、発注書、Invoice、見積書 | 指定港や指定場所が記載されていない |
不一致を見つけた場合は、どの書類を正とするかを輸入者が決め、中国工場と輸送担当者の双方へ同じ修正内容を伝えます。
書類不備の典型例は、中国側の書類不備で輸送が止まるパターンで確認できます。
中国工場から書類を受け取る時期
| 時期 | 受け取る・確認する書類 | 主な確認内容 |
|---|---|---|
| 発注・生産中 | 商品仕様書、材質表、成分表、原産地資料 | 商品分類、規制、協定利用に必要な情報 |
| 梱包完了後・出荷前 | Invoiceドラフト、Packing List、Shipping Instruction | 品名、数量、価格、箱数、重量、容積、取引条件 |
| 船積み・航空輸送手配後 | B/Lドラフト、Sea Waybillドラフト、AWB情報 | 荷送人、荷受人、港・空港、個数、重量 |
| 船積み後 | 確定版B/L、Sea WaybillまたはAWB、保険関係書類 | 確定した運送情報と書類の発行状態 |
| 日本到着前 | Arrival Notice、最終版の通関関係書類 | 到着予定、搬入先、通関準備、国内配送手配 |
| 輸入許可後 | 輸入許可通知書、請求書、納品記録 | 申告内容、税額、費用、配送完了の記録 |
InvoiceやPacking Listを貨物到着後に初めて確認すると、修正に時間がかかります。遅くとも出荷前にドラフトを受け取り、梱包後の確定値へ更新してください。
書類の版管理と修正履歴を残す
中国工場、輸入者、フォワーダーが、それぞれ異なる版を使うと不一致が再発します。書類名だけでなく、版と更新日時を管理します。
- ドラフトと確定版をファイル名で区別する
- ファイル名にInvoice番号、出荷日、版番号を入れる
- 最新版を保管する共通の場所を決める
- 古い版を削除せず、使用停止であることを明記する
- 修正日、修正者、修正項目、修正理由を記録する
- Invoiceを修正した場合はPacking ListやB/Lへの影響も確認する
- 口頭だけで修正を依頼せず、メールなどで履歴を残す
- 通関担当者へ送った版を記録する
同じ商品を継続輸入する場合も、過去の書類をそのまま流用しないでください。価格、数量、重量、製造者、原産地、仕様などが今回の貨物と一致しているかを確認します。
書類不備による通関停止を防ぐ確認手順
- 商品ごとに品名、型番、材質、用途、原産地を整理する
- 中国工場から商品資料と規制確認に必要な資料を集める
- 梱包完了後にInvoiceとPacking Listのドラフトを受け取る
- 発注書、Invoice、Packing Listを品目単位で照合する
- Shipping Instructionへ確定した情報を反映する
- B/L、Sea WaybillまたはAWBのドラフトを確認する
- 船積み後に確定版を受け取り、通関担当者へ共有する
- 日本到着前にArrival Noticeと通関書類一式を確認する
- 修正履歴と最終版を保存する
通関が止まる原因は書類不一致だけではありません。申告内容、他法令、検査などを含む全体像は、中国輸送で通関が止まる原因と対策をご覧ください。
出荷前チェックリスト
- Commercial Invoiceに売手、買手、品名、数量、単価、金額、通貨が記載されている
- インコタームズ、指定場所・指定港、版を確認した
- 無償品、サンプル、予備品をInvoiceへ記載した
- Packing Listに箱数、梱包内容、正味重量、総重量、外寸、容積が記載されている
- 商品写真、仕様書、材質表、成分表などを受け取った
- InvoiceとPacking Listの品名、型番、数量が一致している
- Shipping Instructionへ確定した情報を使用した
- B/L、Sea WaybillまたはAWBのドラフトを確認した
- 荷送人、荷受人、港・空港、梱包数、重量が一致している
- EPA・RCEPを使う場合は原産地証明と裏付け資料を確認した
- 保険を付けた場合は保険関係書類を受け取った
- 規制対象の可能性がある商品は出荷前に所管機関へ確認した
- 確定版とドラフトを区別し、修正履歴を残した
- 日本到着前に通関担当者へ最終版を共有できる状態にした
書類と輸送条件をまとめて整理する
必要書類だけでなく、商品情報、出荷地、重量、容積、取引条件、日本側配送先をまとめて確認する場合は、次の統合ツールをご利用ください。
中国から日本への1回200kg以上の一般貨物の業務輸送で、商品内容、中国側の出荷地、日本側の配送先、重量の目安が分かっている場合は、輸送相談フォームを利用できます。相談内容はDIGISHIPへ共有され、最初の連絡からDIGISHIP担当者が対応します。
食品、危険物、規制品、特殊貨物は、必要書類と対応可否の事前確認が必要です。個人使用の少量輸入、一回限りの小口輸入、輸入代行だけの依頼、模倣品・偽造品は対象としていません。
参考情報
- 税関「輸入申告の際に必要な書類」
- 税関「RCEP協定:必要な書類を作成又は準備し輸入申告時に提出する」
- 税関「EPAを利用して日本に輸入する方法について」
- 厚生労働省「食品等輸入手続について」
- PMDA「医薬品等輸入手続質疑応答集」
- 経済産業省「電気用品安全法における届出・手続の流れ」
- JIFFA「国際物流に関する用語集」
制度および一次資料は2026年7月22日時点で確認しています。実際に必要となる書類は、商品、取引条件、輸送方法、原産地、他法令の対象有無、税関の審査によって変わります。
