中国輸入で使う書類一覧|全書類の役割と取得方法を一覧化

中国輸入で使う書類一覧|全書類の役割と取得方法を一覧化

中国輸入の実務では、出荷から通関・国内配送まで多数の書類が登場する。どの書類を誰が準備し、何のために使うかを把握していないと、通関遅延・税関照会・書類不備によるトラブルに直結する。本記事では、中国輸入の全工程で登場する書類を「出荷前」「輸送中」「通関時」「通関後」の4フェーズに分類し、各書類の役割・取得者・注意点を一覧化します。

【免責事項】本記事の情報は2026年4月時点の参考情報です。通関要件・書類の要求事項は税関・関係機関によって変更されることがあります。個別の通関手続きについては通関業者または専門家に確認してください。

フェーズ1:出荷前の書類

出荷前フェーズは、サプライヤー(工場)との間で取り決め・確認事項を文書化する段階です。この段階の書類に不備があると、後工程すべてに影響します。

書類名 役割 作成・取得者 注意点
Purchase Order(発注書) 荷主がサプライヤーに発行する注文書。品目・数量・単価・納期・インコタームズを明記する 荷主 インボイス・パッキングリストと品目・数量・価格が一致していることを後で確認する
Proforma Invoice(見積インボイス) サプライヤーが発行する仮インボイス。輸出許可申請・信用状開設の基礎書類になる サプライヤー(工場) HS Codeが記載されている場合は正確かどうか確認する
輸出許可申請書類(中国側) 中国税関への輸出申告に使用。フォワーダー(中国側)が手配 中国側フォワーダー 輸出規制品目の場合は許可証取得が必要。規制品の詳細は危険品・規制品リストを参照
原産地証明書(Certificate of Origin) 商品が中国製であることを証明する。RCEP特恵税率の適用に必要なほか、一部品目では輸入時に要求される 中国商工会議所(CCPIT)または認定輸出者 RCEP特恵税率を適用する場合は「特定原産地証明書」が必要。第三者証明 vs 認定輸出者 vs 自己申告の3パターンがある

フェーズ2:輸送中の書類

輸送中フェーズは、貨物が中国の工場・倉庫を出て、日本の港・空港に到着するまでの書類です。この段階の書類は「貨物の権原(所有権)」を示す重要なものが含まれます。

書類名 役割 作成・取得者 注意点
Commercial Invoice(商業インボイス) 売買契約を証明する基本書類。品目・数量・単価・合計金額・インコタームズ・当事者名を記載。関税の課税価格算定の基礎になる サプライヤー(工場) 品目名は英語で正確に記載すること。「Miscellaneous」や「Gift」等の曖昧な記載は税関照会の原因になる。インボイス価格の過少申告は関税逋脱として摘発リスクがある
Packing List(パッキングリスト) 梱包内容の明細書。品目・数量・重量・容積・ケース番号を記載。税関検査時のカウント基準になる サプライヤー(工場) インボイスと品目・数量が一致しているか必ず確認。検査時にパッキングリストと実物が異なると通関が止まる

インボイス・パッキングリストの作り方

B/L(船荷証券 / Bill of Lading) 船会社が発行する海上輸送の証書。貨物の受取証・運送契約書・権原証券の3つの性質を持つ。オリジナルB/LとサレンダーB/Lの2種類がある(詳細は後述) 船会社(フォワーダー経由) オリジナルB/LはB/Lの現物が貨物の権原証券になるため、紛失は致命的。サレンダーB/Lを使う場合は電子手続きで完結できる

書類の取り扱い責任はインコタームズで決まります。詳しくは こちら

AWB(航空運送状 / Air Waybill) 航空輸送の場合に使用。B/Lと異なり有価証券ではなく、貨物の受取証・運送契約書の役割のみを持つ。権原証券ではないため着荷通知でそのまま引き渡し可能 航空会社(フォワーダー経由) AWBはマスターAWB(MAWB)とハウスAWB(HAWB)がある。フォワーダー経由の場合はHAWBが発行される
保険証券(Marine Insurance Certificate) 外航貨物海上保険の付保証明。信用状取引では要求されることが多い。事故発生時の保険金請求の根拠書類 保険会社(フォワーダー経由または直接) CIF条件では通常サプライヤーが手配。FOB条件では荷主が手配する。保険の選び方は外航貨物海上保険の仕組みと判断基準を参照

フェーズ3:通関時の書類

通関時フェーズは、日本の税関に輸入申告を行い、関税・消費税を納付して貨物を引き取るまでの書類です。この段階に必要な書類が揃っていないと通関が止まり、保管料・遅延が発生します。

書類名 役割 作成・取得者 注意点
輸入申告書(Customs Import Declaration) 税関に輸入品の内容・価格・数量を申告する書類。NACCSシステムで電子申告が一般的 通関業者(荷主から委任) HSコード・インボイス価格・数量の正確な記載が必要。通関業者に依頼する際はインボイス・パッキングリスト・B/Lを提供する
税関検査指示書 税関が検査を指示する場合に発行。審査区分1(書類審査なし)・2(書類審査)・3(現品検査)がある 税関 区分3になると開梱・検査費用と時間が発生する。通関書類の記載精度が高いほど区分1・2になりやすい
関税・消費税納付書 税関が算定した関税・消費税の納付書。輸入許可前納付(IBF)または輸入許可後納付(BP)で処理 税関(通関業者が代行) 関税の計算方法は関税計算ガイドを参照。HSコードが確定していれば事前に試算できる

HSコード未確定で輸入するリスク

輸入許可書(Import Permit) 税関が発行する輸入許可の証明。貨物引き取りの根拠書類。輸入後の取引で証明書として使用することがある 税関(NACCSで電子発行) 輸入許可書は会計・税務の証拠書類として保管する。電子データで保存可能
食品等輸入届出書 食品・添加物・器具・容器包装の輸入時に厚生労働省への届出が必要。食品衛生法に基づく 荷主(登録検査機関が補助) 食品・食品接触材料を輸入する場合は税関通関の前に食品輸入届出が必要。事前確認なしに輸入しようとすると通関で止まる
植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate) 木製品・植物・木材梱包材などが輸出国の検疫を受けたことを証明。植物防疫法に基づく 中国の植物検疫当局(GACC) 木製梱包材(パレット・木枠)を使用する場合はISPM 15基準のスタンプが必要。スタンプがない場合は入港時に廃棄または燻蒸処理が必要
技適証明書・電波法に基づく確認書類 無線通信機能を持つ機器の輸入時に必要。技術基準適合証明(技適)がない機器は原則輸入不可 登録証明機関(日本国内) Bluetooth・Wi-Fi・LTEを搭載した電子機器はほぼすべてが対象。試験研究目的での一時輸入は届出で可能な場合がある
【無料相談受付中】
「この書類は誰が準備するのか」「通関書類の不備でトラブルになった」といったご相談は相談フォームからどうぞ。

フェーズ4:通関後の書類

通関後フェーズは、貨物が税関を通過して国内配送・保管・販売に移行する段階の書類です。

書類名 役割 作成・取得者 注意点
デバンニングレポート コンテナから貨物を取り出す(デバン)際の状態確認報告書。LCL混載の場合はCFS(コンテナフレートステーション)で発行される フォワーダー・CFS業者 損傷・不足がある場合は、デバンニングレポートに記録してもらうことが後の補償・保険請求の根拠になる
国内配送の受領書(Delivery Note) 倉庫・自社施設への配送完了の受領書 国内配送業者 数量・外観の確認を行い、不備がある場合は受領書に記載する
輸入消費税の仕入税額控除証明 消費税申告での仕入税額控除に使用。輸入許可書が根拠書類になる 税関(輸入許可書が証明) 輸入許可書(電子または紙)を会計帳簿と紐付けて保存する。電子帳簿保存法の要件に従って保存する
PSE・PSC・その他製品認証書 電気製品(PSE)・乳幼児用品(ST)・圧力容器(PSC)等の販売に必要な認証書類。輸入後の販売段階で必要 第三者認証機関・登録検査機関 PSE未取得の電気製品は日本国内での販売・リース・展示が禁止。輸入自体は可能だが販売できないため、輸入前に認証取得を完了すること

B/L完全解説:オリジナルB/LとサレンダーB/Lの違い

B/L(船荷証券)は中国輸入の実務で最も重要な書類のひとつだ。2種類の形式の違いを正確に把握する必要があります。

オリジナルB/L(Original B/L)

オリジナルB/Lは有価証券であり、B/Lの現物を持っている者が貨物を引き取る権利を持つ。通常3通(1セット)が発行され、そのうち1通を提出することで貨物を引き取れます。

特徴:

  • B/Lの現物(紙)が権原証券として機能する
  • 信用状(L/C)取引では標準的に使用される
  • 郵送・宅配で荷主に送付する必要がある(時間・コストが発生)
  • 紛失した場合は再発行手続きが煩雑で時間がかかる
  • B/Lが届くまで貨物を引き取れない(着港後も待機が発生する場合がある)

サレンダーB/L(Surrendered B/L)

サレンダーB/Lは、中国の発港地(Origin)で船会社にB/Lをサレンダー(返却)することで、日本の着港地(Destination)でB/Lの現物なしで貨物を引き取れる仕組み。電子B/Lとも呼ばれます。

特徴:

  • B/Lの現物が不要。船会社から「Surrendered」スタンプ付きのコピーをメールで受け取るだけでよい
  • B/Lの郵送・宅配が不要で輸送リードタイムに左右されない
  • 着港と同時に引き取り手続きが可能(B/L待ちが発生しない)
  • 信用状(L/C)取引には使用できない(信用状はオリジナルB/Lを要求する)
  • サプライヤーの信用リスクが高い場合(代金未回収リスク)には向かない

どちらを使うべきか

中国輸入の継続的な仕入れで、サプライヤーとの信頼関係が確立している場合はサレンダーB/Lが実務的に便利です。B/Lの郵送を待つ必要がなく、引き取り手続きをスピーディーに進められる。新規サプライヤーとの取引初期や高額取引では、代金回収リスクを考慮してオリジナルB/Lを選択することも検討します。

Telex Release(テレックスリリース)との違い

テレックスリリースはサレンダーB/Lと実質的に同じ仕組みを指す。「サレンダーB/L」と「テレックスリリース」は同義で使われることが多いです。

出荷前確認チェックリスト

出荷前に以下の項目を確認することで、書類不備による通関トラブルを防げます。

サプライヤーから受け取る書類の確認

  • ☐ Commercial Invoice の品目名・数量・単価がPurchase Orderと一致しているか
  • ☐ Commercial Invoice の荷主(Consignee)情報が正確か(会社名・住所・連絡先)
  • ☐ Commercial Invoice の価格が実際の取引価格と一致しているか(過少申告・過大申告がないか)
  • ☐ Packing List の品目・数量・重量・容積がInvoiceと一致しているか
  • ☐ 梱包方法(段ボール・木箱・パレット)を確認し、木製梱包材を使う場合はISPM 15スタンプがあるか
  • ☐ HSコードを自社で事前確認し、Invoiceの品目記載と齟齬がないか

法令・規制の事前確認

  • ☐ 食品・食品接触材料の場合、食品衛生法の届出要件を確認しているか
  • ☐ 電気製品の場合、PSE取得状況または技適認証の要否を確認しているか
  • ☐ 無線機能(Bluetooth・Wi-Fi等)搭載機器の場合、電波法の技適対応を確認しているか
  • ☐ 植物・木製品・植物性梱包材の場合、植物防疫法の検疫要件を確認しているか
  • ☐ 規制品・禁止品に該当しないか確認しているか(詳細は危険品・規制品リストを参照)
  • ☐ RCEP特恵税率を適用する場合、特定原産地証明書の取得方法を確認しているか

フォワーダーへの連絡事項

  • ☐ 出荷予定日・貨物の重量・容積・CBMをフォワーダーに連絡しているか
  • ☐ 危険品(リチウムバッテリー等)が含まれる場合、危険品申告を依頼しているか
  • ☐ B/LのタイプをサレンダーB/Lにするかオリジナルにするか確認しているか
  • ☐ 保険の付保要否を決定し、付保する場合は手配を依頼しているか(保険の選び方参照)
  • ☐ 特殊輸送条件(温度管理・危険品等)がある場合に通知しているか

通関業者への準備

  • ☐ インボイス・パッキングリスト・B/L(またはAWB)を通関業者に送付しているか
  • ☐ 特殊書類(原産地証明書・食品届出・検疫証明書等)が必要な場合に手配しているか
  • ☐ 予定される関税・消費税の納付資金を準備しているか
【料金計算ツール】
DIGISHIPの料金計算ツールで輸送費のオールイン料金を事前確認できます。書類準備と並行して費用の見通しを立てておきましょう。

まとめ

  • 中国輸入の書類は「出荷前」「輸送中」「通関時」「通関後」の4フェーズに分類して管理する
  • Commercial Invoice・Packing Listは最も基本的な書類で、数量・金額・品目の一致が鉄則だ
  • B/Lは有価証券であり、オリジナルB/LとサレンダーB/Lを案件の性質に応じて使い分ける
  • 食品・電気製品・無線機器・植物・木製品は通関時に法令対応書類が別途必要になる
  • 出荷前に書類チェックリストを使って確認することで通関トラブルの大半を防げる

通関時のトラブル事例については通関トラブル事例集、危険品・規制品の事前確認については危険品・規制品リストも参照してください。

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【免責事項】本記事の情報は2026年4月時点の参考情報です。通関要件・必要書類は税関・関係機関の指導によって変更されることがあります。実際の輸入手続きについては通関業者・フォワーダーにご確認ください。