中国輸入の危険品・規制品リスト|輸送できない商品と対処法
中国からの輸入では、品目によって「輸入禁止品」「輸入前に許可・届出が必要な品」「輸送に特別な手続きが必要な危険品」の3つに区分されます。これを理解せずに輸送依頼や通関手続きを進めると、税関で差し止め・廃棄処分・罰則の対象になります。
この記事では、中国輸入で頻出する規制品目を法律別に整理し、リチウムイオンバッテリーの輸送規制の詳細、輸入禁止品と許可が必要な品の区別、事前確認フローを解説します。
【免責事項】本記事の情報は2026年4月時点の参考情報です。法令要件・規制品目は改正・更新されることがあります。輸入前には必ず税関・関係省庁・専門家に確認してください。
3つの区分:禁止品・要許可品・危険品
中国輸入の品目規制は以下の3つに区分されます。
| 区分 | 内容 | 違反した場合のリスク |
|---|---|---|
| 輸入禁止品 | いかなる場合でも日本への輸入が禁止されている品目。許可・届出では輸入できない | 没収・廃棄処分。刑事罰(懲役・罰金)の対象になる場合がある |
| 要許可品・要届出品 | 輸入前に行政機関への届出・許可取得・検査が必要な品目。手続きを経れば輸入可能 | 書類未整備で通関が止まる。保管料・遅延が発生。場合によっては廃棄 |
| 輸送規制品(危険品) | IMO・IATAの危険物規制に従い、特別な梱包・申告・ラベル貼付が必要な品目。手続きを経れば輸送可能 | 危険品申告なしでの輸送は航空・海上ともに輸送拒否・没収・高額罰則の対象 |
法律別の規制品目一覧
食品衛生法
食品・飲料・食品添加物・器具・容器包装・おもちゃ(乳幼児用)は食品衛生法の対象だ。輸入前に最寄りの検疫所(厚生労働省)に輸入届出書を提出し、検査で基準を満たすことを確認する必要があります。
- 対象品目例:食品・飲料・食品添加物、食器・調理器具(食品接触材料)、哺乳瓶・乳幼児玩具
- 手続き:輸入届出書を検疫所に提出→書類審査または現物検査→合格後に輸入許可
- 注意点:食品衛生法違反品の輸入は全量廃棄になる場合がある。中国製の食器・調理器具は鉛・カドミウムの溶出検査で引っかかるケースがある
電波法(技術基準適合証明)
無線通信機能を内蔵した機器は、日本の電波法の技術基準に適合している必要があります。技適マーク(⊕)がない機器は、日本国内での使用・販売・陳列が禁止されます。
- 対象品目例:スマートフォン・タブレット・スマートウォッチ・Wi-Fiルーター・Bluetoothスピーカー・ドローン・IoT機器・無線マウス・キーボード・ゲームコントローラー(無線)
- 手続き:登録証明機関(TELEC等)で技適取得→技適マークの表示
- 試験研究目的の特例:自分で使用するための試験研究を目的とする場合、総務省への届出(180日以内)で一時的に使用できる特例がある
- 注意点:中国製の格安スマートウォッチ・IoT機器の多くは技適未取得。販売目的の輸入は別途技適取得が必要
薬機法(医薬品医療機器等法)
医薬品・医療機器・化粧品・医薬部外品は薬機法の規制を受けます。輸入業者は「医薬品等輸入業」の許可が必要になる場合があります。
- 対象品目例:サプリメント(医薬品成分含有)・美容医療機器・医薬品原料・化粧品・コンタクトレンズ
- 自家使用の特例:個人が自分で使用する目的で、一定数量以内であれば輸入できる場合がある(業としての輸入は許可が必要)
- 注意点:「食品」として輸入しても、実質的に医薬品と認定される成分が含まれていると薬機法違反になる場合がある
植物防疫法
植物・木製品・農産物の輸入は植物防疫法の検疫を受けます。害虫・病原体の国内侵入を防ぐための規制です。
- 対象品目例:生木材・未加工木材・土壌・球根・種子・フルーツ・野菜、木製梱包材(パレット・木枠)
- 手続き:植物検疫所での検疫→合格後に輸入許可
- 木製梱包材の特例:ISPM 15に適合したスタンプ(くん蒸または熱処理を受けた証明)がある木製パレット・木枠は検疫不要。スタンプがないものは入港時に処分・再くん蒸が必要
- 輸入禁止の植物・地域:一部の植物は中国を原産地とする場合に輸入禁止の指定を受けている
消費生活用製品安全法(PSC)・電気用品安全法(PSE)
一般消費者向けの製品には、安全基準への適合と認証マークの表示が義務付けられています。
- PSE(電気用品安全法)の対象:家電製品全般・電源コード・充電器・照明器具・電動工具。特定電気用品(◇PSE)と特定電気用品以外の電気用品(〇PSE)の2種類。◇PSEは登録検査機関の適合性検査が必要
- PSC(消費生活用製品安全法)の対象:乗車用ヘルメット・登山用ロープ・石油ストーブ・乳幼児ベッド等の特定製品。PSCマーク(菱形)の取得が義務
- 輸入自体は可能:PSE・PSCは販売・展示・使用を規制するもので、輸入自体を禁じているわけではない。ただし認証なしで販売すると電気用品安全法・消費生活用製品安全法の違反になる
- 注意点:PSE未取得のまま販売した場合、業務停止命令・罰則の対象になる
輸出貿易管理令(中国側)・外為法(日本側)
軍事転用可能な技術・製品(デュアルユース品)は輸出国(中国)・輸入国(日本)双方で規制を受けます。
- 対象品目例:高性能半導体・暗号化技術・軍事関連機器・特殊化学品・核・生物・化学兵器関連物資
- キャッチオール規制:リストに掲載されていない品目でも、大量破壊兵器等への転用が疑われる場合は許可が必要になる
- 注意点:外為法違反は刑事罰の対象になる。疑わしい案件はフォワーダー・通関業者に必ず相談すること
「この品目は通関できるか」「事前に何の許可が必要か」といったご相談は相談フォームからどうぞ。書類準備からフォワーダー手配まで対応します。
リチウムイオンバッテリーの輸送規制
リチウムイオンバッテリー(LIB)は発火・爆発リスクがあるため、国際規制(UN規則・IATA・IMO)による危険品として厳格に管理されます。中国輸入で最も頻出する危険品規制がこのリチウムバッテリーです。
UN番号による分類
| UN番号 | 品目 | 代表的な製品 |
|---|---|---|
| UN3480 | リチウムイオン電池単体(機器に装備されていない単体バッテリー) | 予備バッテリー・モバイルバッテリー・電動自転車用バッテリー単体 |
| UN3481 | リチウムイオン電池が機器に内蔵または同梱されているもの | スマートフォン・タブレット・ノートPC・電動工具(バッテリー同梱) |
| UN3090 | リチウム金属電池単体(一次電池) | リチウム一次乾電池 |
| UN3091 | リチウム金属電池が機器に内蔵または同梱されているもの | リチウム電池内蔵の計測器・センサー機器 |
ワット時定格量(Wh)による輸送区分
リチウムイオン電池の輸送規制は、ワット時定格量(Wh)によって区分が変わります。
| Wh区分 | 航空輸送(IATA規則) | 海上輸送(IMO規則) | 代表的な製品 |
|---|---|---|---|
| 〜100Wh以下(単体電池:〜20Ah以下) | Section IA/IB/II対応。貨物機は申告・ラベル必要。旅客機は一部制限 | 危険品申告が必要。PI 965/966/967に準拠した梱包 | スマートフォン(〜20Wh)・タブレット(30〜40Wh)・ノートPC(50〜90Wh) |
| 100Wh超〜300Wh以下 | 航空輸送は国際航空運送協会(IATA)の特別許可が必要。単体の場合は貨物機のみ | 危険品申告が必要。追加の梱包要件あり | 電動自転車用大型バッテリー・ドローン用大型バッテリー |
| 300Wh超 | 航空輸送は原則禁止(特別な許可がないと輸送不可) | 海上輸送は申告・特殊梱包・危険品明細書が必要 | 大型定置型蓄電池・大型EV用バッテリー |
リチウムバッテリーを輸送する際の必須手順
- バッテリーのWh数・セル数・充電状態を確認する
充電状態(State of Charge)は航空輸送では30%以下が求められるケースが多い - 危険品申告書(Dangerous Goods Declaration / Shipper’s Declaration)を作成する
UN番号・品名・数量・梱包区分を記載する。フォワーダーが作成を補助できる - 規定の梱包・ラベル貼付を行う
内装包装(個別)→外装箱→ラベル(危険品シンボルマーク・UN番号・方向矢印)の順に対応する - 輸送モードを確認する
100Wh超の単体バッテリーの航空輸送は制限が厳しい。容量が大きい場合は海上輸送を選択することを検討する
危険品申告なしで輸送しようとした場合、フォワーダーに輸送拒否されるだけでなく、発覚した場合は高額罰則・輸送禁止措置の対象です。リチウムバッテリーを含む製品の輸送依頼は必ず事前にフォワーダーに申告します。
輸入禁止品の一覧
以下の品目は、いかなる場合も日本への輸入が禁止されています。許可・届出で輸入できるものではないです。
| 品目 | 根拠法令 | 備考 |
|---|---|---|
| 麻薬・覚醒剤・大麻・あへん・向精神薬 | 麻薬及び向精神薬取締法・覚醒剤取締法・大麻取締法 | 成分が含まれる原料・植物も対象になる場合がある |
| 拳銃・小銃・機関銃・その他の銃器・弾薬 | 火薬類取締法・銃刀法 | レプリカ・モデルガンも一部規制対象 |
| 爆発物・火薬類(輸入許可なし) | 火薬類取締法 | 花火・信号弾等も含む |
| 通貨・証券の偽造品・変造品 | 関税法 | デザインが類似した記念品も含む場合がある |
| わいせつ物(わいせつ図書・映像等) | 関税法・刑法 | 電子データでの持ち込みも含む |
| 児童ポルノ | 児童買春・児童ポルノ禁止法 | 刑事罰の対象 |
| 知的財産権を侵害する物品(ブランドコピー品・海賊版) | 関税法・不正競争防止法 | 個人使用目的でも水際で没収される |
| 特定農薬・禁止農薬が基準値超で残留する農産物 | 食品衛生法 | 中国産農産物の農薬残留は検疫で検査される |
| ワシントン条約(CITES)の規制種(ぞうの牙・サイの角・特定の爬虫類等) | 外国為替及び外国貿易法・関税法 | 許可証がなければ輸入禁止 |
許可があれば輸入可能な品の一覧
以下の品目は、事前に所定の手続き(届出・許可・検査)を経れば輸入できます。手続きを省略すると通関で差し止めになります。
| 品目 | 必要な手続き | 窓口 |
|---|---|---|
| 食品・飲料・食品添加物・食品接触材料 | 食品輸入届出書の提出→検疫所による審査・検査 | 厚生労働省検疫所 |
| 医薬品・医療機器・化粧品 | 薬機法に基づく輸入業許可・製造販売業許可(業として輸入する場合) | 都道府県薬務課・厚生労働省 |
| 農薬 | 農薬取締法に基づく登録(未登録農薬は輸入不可) | 農林水産省 |
| 植物・種子・生木材 | 植物検疫所での植物検疫 | 農林水産省植物防疫所 |
| 動物・動物由来製品(革・毛皮等) | 動物検疫所での動物検疫・家畜伝染病予防法に基づく手続き | 農林水産省動物検疫所 |
| 武器・弾薬・火薬類 | 経済産業省の輸入承認・警察庁の許可 | 経済産業省・警察庁 |
| ワシントン条約規制種(附属書II・III掲載種) | 輸出国政府発行のCITES許可書・日本の経済産業省への届出 | 経済産業省・産業保安グループ |
| 無線通信機器(技適未取得) | 試験研究目的:総務省への届出(180日以内)。販売目的:技適取得 | 総務省・登録証明機関(TELEC等) |
| 特定有害廃棄物(バーゼル条約対象物) | 環境省の輸入許可 | 環境省 |
| オゾン層破壊物質(フロン類等) | 経済産業省の輸入承認 | 経済産業省 |
事前確認フローチャート
輸入前の品目確認は以下のフローに従って進める。許可取得後に必要な書類は 書類一覧 で確認してください。
Step 1:品目の特定とHSコードの確認
まず輸入しようとする品目を正確に特定し、HSコード(関税分類番号)を確認する。HSコードは税関の公式サイト(税関ウェブサイト)またはJETROのHS検索ツールで調べられる。HSコードが確定すると、適用される関税率・規制の概要が把握できます。
HSコードと規制の関係についてはHSコードリスクの解説記事も参照してほしい。
Step 2:輸入禁止品リストの照合
対象品目が上記の輸入禁止品に該当しないかを確認する。禁止品に該当する場合は輸入計画自体を中止します。
Step 3:法令別の規制チェック
品目の特性に応じて、以下の法令チェックを行います。
- 食品・食品接触材料→食品衛生法の届出要件を確認
- 電気製品→PSE(電気用品安全法)の適合要件を確認
- 無線通信機器→電波法の技適要件を確認
- 植物・木製品→植物防疫法の検疫要件を確認
- 医薬品・医療機器・化粧品→薬機法の許可要件を確認
- リチウムバッテリー含有品→UN番号・Wh数による危険品区分を確認
- デュアルユース品(高性能部品等)→外為法の輸入規制を確認
Step 4:必要な許可・届出の取得
Step 3で必要と判明した許可・届出を取得する。許可取得には数日〜数週間かかるものもあるため、輸入スケジュールの前倒しが必要になる場合があります。許可取得前に輸送を依頼・出荷しないことです。
Step 5:フォワーダーへの申告と輸送手配
品目・危険品区分・必要な許可の取得状況をフォワーダーに申告した上で輸送を依頼する。危険品が含まれる場合は危険品申告書をフォワーダーと共同で作成する。輸送費の見積もりは料金計算ツールで事前確認できます。
Step 6:通関業者への書類提供
必要な許可書・届出確認書・原産地証明書等の書類一式を通関業者に提供し、輸入申告の準備を行う。必要書類の全体像は書類一覧記事を参照してください。
「モバイルバッテリーを危険品申告なしで航空輸送しようとして輸送拒否された」「PSE未取得の電気製品を仕入れて販売できなくなった」「食品サンプルを輸入届出なしで輸入して全量廃棄になった」——いずれも事前確認で防げるトラブルです。
まとめ
- 中国輸入の品目規制は「輸入禁止品」「要許可品」「危険品(輸送規制)」の3つに区分される
- 食品衛生法・電波法・薬機法・植物防疫法・PSE・PSC・外為法が主要な規制法令だ
- リチウムイオンバッテリーはUN3480(単体)・UN3481(機器同梱)に区分され、Wh数によって航空輸送の可否が変わる
- 100Wh超の単体バッテリーの航空輸送は原則禁止。危険品申告なしでの輸送は輸送拒否・高額罰則の対象だ
- ブランドコピー品・麻薬・銃器・わいせつ物・知的財産権侵害品は輸入禁止品で許可では輸入できない
- 事前確認フローを使って品目→法令チェック→許可取得→輸送手配の順で進めることで通関トラブルを防げる
輸送書類の全体像については書類一覧、輸送費の試算については費用構造の解説も参照して下さい。
【免責事項】本記事の情報は2026年4月時点の参考情報です。法令・規制要件は改正・更新されることがあります。品目の輸入可否・必要手続きについては税関、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、総務省等の関係機関、または通関業者・専門家に必ずご確認ください。
